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キヤノンオープン 2010

横田真一は「セカンドライフに行かないで済むように」

前半の9番で、122ヤードの右ラフからピッチングウェッジで打った第2打が、ダイレクトにカップイン。ボールはカップの縁を壊す勢いだった。パー4でど派手なイーグルを含む68をマークして、大混戦の優勝争いに加わったが本人のテンションは低い。

「大したゴルフはしていないのに、スコアも順位もいいんです。なんでかな」。しいていえば、今週はグリーンの難しさ。
「猛暑だった割に、コースの方が頑張ってくださったおかげで芝の発育が良くて、目がある」。
加えてこの日もシビアなピン位置に、「だからみんなも苦労している」。

その中で、自身も首位グループに加わったというのに、自虐的。
ツアー1勝の選手が「もともと、大したことない選手なので」と自らに否定的なのは、今季これまでの成績にある。

今年も出場出来る試合が少なくなってきたというのに、現在、賞金ランキング91位はまだ460万ほどしか稼げておらず、2006年以来のシード落ちの危機を迎えている。

妻でタレントの夕子さんは、シーズン末の予選会「ファイナルQT」に応援も駆けつける気で満々だが本人は、やや逃げ腰だ。

ラウンド中も、考える。
「第二の人生をどうするか」。
ビジネスの世界に分け入るか、はたまた大学院に入って学び直すか。
前夜のテレビニュースを見ながらなかば本気で考える。
「人間行動学のような分野で、ノーベル賞を狙おうかな」。
そこまで思い詰めているだけに、このチャンスはぜひ生かしたい。
「セカンドライフに行かないで済むように」。
切実な思いで決勝ラウンドを迎える。

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