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日本プロゴルフ選手権 日清カップヌードル杯 2010

片山晋呉に完全復活の予兆

昨年4月のマスターズで日本人最高の4位をきっかけに煩った燃え尽き症候群は、昨年12月のシーズン終了から丸1ヶ月、まったくクラブを握らないという荒療治で乗り切った。

オフに友人と興じたプライベートラウンドで再発見したゴルフの楽しさ。
「試合でもまたもう一度、こんな気持ちでやれたら」と思ったことが、きっかけだった。

昨年は、「ゴルフが面白くない」。コースに来ることすら嫌気が差した。
常に高い理想を持って取り組んできた孤高の賞金王は、目標を見失い苦しんだ。
それだけに、再び意欲を取り戻せたという喜びは、計り知れない。
「もう、クラブが振れないんじゃないか、と思っていた時期もあります」。
しかし、そんな懸念はいまや、いっさいない。「はい、もう完全になくなりました」と、きっぱりと断定した。

今週のプロ日本一決定戦は、そのコースセッティングも心を燃やす材料だ。
会場のここパサージュ琴海アイランドゴルフクラブは「ドライバーで飛ばして、乗せて、入れて・・・というようなコースじゃない。技術のない選手との実力の差がはっきり出る。ラフに入れたらさあどうしよう、というような・・・。頭を使わなくちゃいけないんです」。
難題を突きつけられて、コースの謎解きにすっかり夢中だ。

「ここはマスターズで使うような、球の種類が必要です」。
そのココロを晋呉流に解説すれば、「たとえばアプローチはタッチでボールをコントロールするけれど、ここでは海外のコースのように、100ヤード以上のショットでも、それが要求されるんです」。

多くの選手がまず、グリーンの難解さを真っ先に指摘するが、片山はそれすらも頭から否定した。
「いいえ、ここは総合力が何より問われるコースです」。
だからこそ、ますます挑戦意欲は掻き立てられる。
そして、そんな自分が嬉しくて仕方ない。
「ゴルフをしていてすっごく楽しい!」。本来の笑顔をすっかり取り戻した。

大会側は、今年は「10アンダー以上は出させない」という意図で、セッティングを施していると公言しているそうだが、そう断言されるといっそう燃える。
「それを超えるように行ってみたいと思う」。
初優勝の98年から初めて勝ち星が途絶えたのは昨シーズン。
今大会3度目のタイトルを、完全復活ののろしにする。

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