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東建ホームメイトカップ 2011
賞金王たちが好発進!!
まず1人目は、昨年のキングだ。年が明けても主役の座は譲らない。金庚泰(キムキョンテ)が、引き続き存在感を示してみせた。
スタートの1番で、5メートル。さらに2番はピンそば80センチの連続バーディで、一気に波に乗る。ここ東建多度カントリークラブ・名古屋は先週のマスターズに負けず劣らずの高速グリーンに加え、硬い地面にやみくもにピンを狙うと、たちまちボールが跳ね返されてしまう。
「オーガスタのグリーンは傾斜があって、気をつけないとバックスピンで戻されてしまう感じだけれど、ここは本当に注意しないと奧にこぼれてしまうから」。
国内専属キャディの児島航さんと「まずはエッジまでの距離を入念に計り、確実にグリーンを捉えるようにした」という。
それでも弾かれてしまったミスショットは、定評あるアプローチで確実に寄せて、ピンチをしのいだ。
ショットも絶好調。ヒントを掴んだのもやっぱりマスターズだった。
先週3日目に78を打った。昨年末からテイクバックの入り方が気に入らなくて、スイング改造中だった。
「それを直そうとして、意識しすぎてかえってリズムを崩していたかもしれない」。
オーガスタの練習場でそこに気がついた。
以前のタイミングに戻したら、翌日の最終日には68が出た。
「たまたまかな、と思っていましたが、帰ってきてから昨日のプロアマ戦でも凄く調子が良くて」。
ますます自信を深めての大会初日。ボギーなしの6バーディで片山晋呉と並んで首位タイに立った。
3月11日以降、海外でも連日のように、日本の様子がニュースで伝えられる。石川遼もアメリカで感じたと話していたが、「日本の外では実際の状況よりも、深刻に報道されていると感じる」と金もいう。「韓国でも、日本は相当ひどい状況だと伝えられていて、みんな凄く不安になっています」。
日本に行くというと、それだけでもう危険だという人や「ゴルフのトーナメントなど出来る状況ではないのでは」と懸念する人もいて、そう言われれば言われるほど金も不安になったものだが、自らの目で状況を確かめることで、それも払拭した。
渡米前に、わざわざ来日して都内にある日本ゴルフツアー機構の事務所まで義援金を届けに来た。
「そのときにみなさんがとても冷静に、普通の生活を送ってらっしゃることが分かったし、しかもこの大変な状況の中でも試合を開催してくださる、と。僕もJGTメンバーとして、参加する義務があると思った」と、再来日に迷いはなかった。
そこには、賞金王としての自覚もあった。
特に、この開幕戦ではなおさら、不甲斐ないプレーは出来ないというプレッシャーもあった。しかし、アメリカから戻るなり、プロアマ戦に参加。
時差ボケに泣きながら初日を迎えたが、普段からよく話をする宮本勝昌や近藤共弘と久しぶりに同じペアリングはことのほか楽しくて、緊張を感じている暇もなかった。
ほとんどぶっつけ本番の強行軍が、新・賞金王の好スタートをアシストしたかっこうだ。