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東建ホームメイトカップ 2011
片山晋呉が首位キープ
「もうね、とにかく頑張ろうというね、そういう思いしかない」。
この日2日目も、1打1打に思いがこもった。
震災直後に水と乾電池をそれぞれ1トン、被災地に送ったが「まだまだ足りない」。
義援金や物資、そしていよいよ今度は自身のプレーでも、被災地を支えて行こうという信念が全身からほとばしった。
燃え尽き症候群に苦しんだ2年間。“出勤拒否”の症状が出たこともある。たまに好スコアを出しても「ああ、出ちゃったな、くらいにしか思えないこともあって」。
だがこの日の朝、目覚めたときに依然として胸の中の充実感が消えていないことを自覚して、安堵した。
首位タイでスタートした前日初日。開幕初日に納得のゴルフが出来たことで、「これまでやってきたことが間違いじゃなかったと思えた」と、片山は言う。
確たる自信さえ取り戻したら、この男は強い。
「今は一生懸命やることへの動機付けがあるから」。不安はもうない。「ゴルフに対する思い、気持ちを積み重ねて自分のプレーさえ出来れば勝ちはついてくる」との確信も、持てるようになってきた。
最終18番で、6メートルのバーディパットを沈めて握りしめたガッツポーズ。
「充実してプレーに入り込めるようになっている」と、満足そうに頷いた。
このオフには徹底した体力強化とともに、メンタルトレーナーの指導も請うたという賞金王の心のリハビリも、ようやく完治を迎えようとしている。