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日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills 2011

被災地での開催を決断して・・・

もはやすっかり夏祭り名物のフラダンスを皮切りに・・・
今季のツアープレーヤーNO.1決定戦は、韓国のJ・B・パクのツアー初優勝で幕を閉じた。当初、被災地での開催にはもちろん迷いや葛藤もあった。しかし、リスクを承知で決断した今大会の開催を、また大会の成功を、誰よりも喜んでくださったのが、地元のゴルフファンのみなさんであったことが、何よりの救いだった。

特に大会3日目は競技終了後に行われた恒例の夏祭り「グリーンフェスタかさま」。この発起人であり、開催コースのここ宍戸カントリークラブの草野通朗・取締役支配人は、「茨城が元気なこと、大丈夫なことがアピール出来たと思います」。

折しも地元では、他のさまざまな恒例行事が中止、延期や開催地の変更を発表していたころ。しかし、大会の主催者でもある我々日本ゴルフツアー機構が、今季予定のトーナメント25試合を、開幕から予定どおりに開催すると発表したのは4月1日。

「本当に嬉しかった」と草野さんは言う。
「もしこの大会までなくなってしまったら、地元はもっと元気をなくしてしまう。大会を開催してくださるのだから、夏祭りは是が非でもやらなくてはいけない、と」。
クラブハウスの壁が崩れたり、一部が陥没したり、コースも甚大な被害を受けたがそれでも強い使命感を持って、草野さんはさっそく準備に取りかかった。

これを機会に原発による風評被害も、少しでも払拭させたかった。祭りで出店する飲食店は、すべて地産地消の商品でまかなうことに決めた。

祭りの催し物は、もうすっかりおなじみの地元・笠間市のこまき恵ABCアカデミーフラスクールのみなさんによるフラダンスに加えて、仲南会・さくら和太鼓クラブによる「和太鼓の演奏」など、地元サークルのみなさんに協力をあおぎ、今年は例年以上にローカル色を出していくことにした。

本番に向けて、各サークルのみなさんが一生懸命に練習に励む様子を伝え聞くにつけて、草野さんは当日がますます楽しみになった。
「みんなで力を合わせて何かに取り組むことも、復興への大きな一歩なんだ」と、そんな確信があったという。

地元のみなさんの熱い思いに、選手たちも応えた。当日は3900人もの観客を集めた今年の夏祭りは、メインイベントのひとつでもある「チャリティーオークション」に、例年の倍以上となる7選手が愛用の品を持ち寄って、ステージに立った。

草野さんは、その中に山下和宏の顔があったことを、ことのほか喜んでくださった。
3日目に首位に立った“トーナメントリーダー”が、ホールアウト直後の夏祭りに参加することは、草野さんにとっては「異例」のことだったからだ。

「やっぱり、明日(最終日)のことがある。大事な優勝争いの前に、余計な負担をかけさせないようにと、今まではわたくしどものほうでも配慮してきたのですが、山下選手は快く参加してくださった。本当に有り難かった」(草野さん)。

山下のほか、川岸良兼やS・K・ホ、小林正則と星野英正、薗田峻輔らが祭りを盛り上げた。選手たちが持ち寄った愛用の品は、地元ファンの熱いバトルの末に次々と競り落とされていった。

今回のオークションで集まった25万3000円は、震災の義援金として役立てられる。
そのほか、期間中に行った選手たちによるチャリティ握手会や、チャリティフォトサービスなどで集まった35万8947円も同様に、日本赤十字社を通じて寄付される。

土曜日のオークションの最後に選手を代表してマイクを握った宮本勝昌は、茨城県水戸市の水城高校で3年間を過ごした。
それだけに、思いのほか明るい笑顔で選手たちを迎えてくださった地元の方々の温かさと強さが、改めて身に染みた。史上初の連覇こそ逃したが、最後までそのチャンスを残してプレーすることが出来た。地元ファンの期待を一身に背負って戦った。
「こうして皆さんの前でプレー出来ることは、本当に幸せです」と感謝した。

チャンピオンに輝いたJ・B・パクは、「また来年も必ず大好きな宍戸に戻ってきます」と、カムバックを約束した。

  • 選手たちが愛用品を持ち寄ったチャリティオークションと・・・
  • 同じだけ大変な盛り上がりを見せたのが、海賊戦隊ゴーカイジャーショー。特に家族連れのファンを集めて大盛況だった
  • 予選ラウンドでは石川遼も、チャリティフォトサービスで一役買った
  • チャリティ握手会でも長い行列が出来ました。みなさまの暖かいご協力を、心より感謝します。

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