Tournament article
つるやオープンゴルフトーナメント 2011
横田真一は「しずか〜にゴルフをして」
だが今年は、どこか調整も中途半端なままシーズンの開幕を迎えてしまった。さあ、そろそろ仕上げを、と思っていた矢先の大震災。そのあと、まったくゴルフに集中できなくなった。
昨年10月のキヤノンオープンで、12年ぶりの復活優勝へと導いてくれたキャディの臼井泰仁さん。特に甚大な被害を受けた宮城県石巻出身の恩人と長く連絡がつかず、落ち着かない日々が続いた。
10日後にようやく電話で話すことが出来たが臼井さんは、大切なおばあさまを亡くされた。自宅も津波に浸かったという。
折しも、男子ツアーは予定どおり開幕するか、主催者との話し合いがもたれていたころ。横田は臼井さんに聞いてみた。
「こんなときに、ゴルフをやっていてもいいんだろうか」。
「いえ、こんなときだからこそ、やってほしい。被災地のみなさんは、自分たちの元気が無くなっているいまだからこそ、スポーツの開催を楽しみにしているんですよ」。
被災者の生の声に、勇気づけられた。
「だからこそ、僕らがやらなくちゃいけないんだ」と前を向くことが出来たのだ。
が、いかんせん自身の調整不足は否めない。加えて、もともと春先はエンジンがかかりにくいタイプとあって、先週の開幕戦は予選落ち。
2戦目の今週は、昨年も予選落ちしているだけに、気合を入れたいところだがまだ手応えすら持てない状態では、なんとも言いようがない。
まして「被災地をプレーで元気づける、なんておこがましくて、とても言えない」。
昨年の復活Vには、同社の西村文延・代表取締役社長をいたく喜ばせただけに、「この大会こそ」という希望もあるが、調子がついてきそうにない。
「せめてしずか〜にゴルフをしてすーっと上位にいる。それが今の僕の理想です」。
恩返ししたいのはやまやまだが、あまり欲を出さずにやろうと考えている。