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キヤノンオープン 2011

久保谷健一は3位タイにも「今すぐやめさせて欲しい」

せっかく“外泊”の許可が出たのに、本人にはその元気すら残っていない。初日は4アンダーの68。そしてこの日はボギーなしの67。通算9アンダーの3位タイにも、もはや“ぼやき”はこの人の専売特許といってもいいほど、板についてきた。

初日に引き続き、報道陣を相手に延々と愚痴が続く。
「どうやってもショットが当たらないんですよ。どうにか枠の中に飛べばいいやと思ってやっているけど、枠に行かないどころか当たらない」などと、さらにスコアを伸ばしたというのに言ってることは、初日と同じ。

「あれだけしっちゃかめっちゃかのゴルフでなんでボギーなしなのか」。
数あるピンチの中でも特に15番は、「絶対ボギーと諦めた」。3メートルのパーパットが沈んだ瞬間に、どうしてといった顔で首をかしげた。

それほどの不調を抱えるだけに、「ボギーならボギーでいい。予選通るだけでいいや」と、開き直っているうちはいいが、予選通過どころか週末は、優勝争いに加わって「決勝になったら絶対にこうはいかない。色気を出した途端に75や、76は打ちますよ。非常に怖いです」と、本気で怯える。
「試合感はゼロ。もう、30位くらいでいいから、今すぐやめさせて欲しい」とまで訴える始末だ。

大会の地元・神奈川県出身。現在の住まいは都内に構えるが、それでもここ戸塚まで車で30分という利便性にあってなお、ツアーでも有名な酒豪は今週も“宿泊”を希望していた。

根っからのマイナス思考には、仲間の小山内護や平塚哲二らと“19番ホール”で開く酒宴が何よりの息抜き。「でも、奥さんが予選通過するまではダメだって」。今週の稼ぎと、何より夫の体を心配する妻の久美子さんに止められていたが、晴れて堂々の決勝ラウンド進出にも、本人にはその気力すら残っていなかった。

「どうやっても当たらないとはこのこと。それがいかに難しいことか。アマチュアの人の気持ちがいまやっと分かった」と、妙なところで開眼したほど。日々コースでああでもない、こうでもないとスイングに頭を痛めるうちに、「なんだか面倒くさくなっちゃって。完全に病いに入ってます」と、もはや放心状態で迎える週末こそのんびりと自宅通勤で傷を癒しながら、9年ぶりのツアー通算5勝目を狙ってみたい。

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