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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2012

今年、シードのボーダー線は……

ボーダー線上の河井。もともと渋い表情も、しかし今年の重圧は例年とは雲泥の差?!
いよいよ今年、最後のチャンスだ。カシオワールドオープンは、シード権争いの選手たちにとっては、これが今季の最終戦。

今のところ、先週のダンロップフェニックスで日本ツアー初優勝を達成した招待外国人選手のルーク・ドナルドが義務試合数不足で、賞金ランキングの対象外になるからこの1選手を抜いて、71位までの上位70人がシード権のボーダー線ということになる。

現在、この当落選上に位置するのは河井博大(かわいひろお)。
「なんとか僕も、上位70人には潜り込みたい」とはいっても、河井は昨年の日本プロゴルフ選手権で得た5年間の複数年シードがある。
「いや、昨年はたまたま勝てましたが本来の僕は毎年、この位置でやるタイプの選手なんですよね」と笑う。
「この位置で戦う苦しさは、僕が一番よく知っている」。
今年は予選2日間を、ジャンボ尾崎と回ることになり、なおさら気も引き締まる。

昨年にはオフにジャンボ邸を訪ねて、その年に大金星を上げた経緯を振り返るにつけても、「今年もジャンボさんにカツを入れてもらって、来年また出直したい」と、賞金シードをここまで引っ張ってしまったことには反省だが、この目下自身の最終戦も、「甘えじゃないですけど、やっぱり来年の出場権があると思えば、今年は良い意味で開き直って戦える」と悲壮感はほとんどないが、河井のように、そのほかの出場権を持たない選手たちにとっては、もしかしたら今週は優勝争いよりもシビアな争い。

いわば“生活権”をかけたプレッシャーの度合いは、想像に難くない。
現在、69位につける細川和彦も、その一人だ。
2006年にも一度、賞金シード落ちをしているが、当時は河井のように、複数年シードがあった。
ツアー8勝の41歳のベテランが、1995年から守ってきた出場権を失ったのは、昨年。

ファイナルQTランクは37位の資格で復活に賭けた今季は、持病の潰瘍性大腸炎に加えて、右膝の半月板を損傷してなおさら厳しいシーズンも、ツアー初優勝を達成した大会でもある「VanaH杯KBCオーガスタ」で単独3位につけて、足がかりを作った。

いよいよ実質、残り2戦となった先週のダンロップフェニックスでは3日目に14位タイと踏ん張っていたが、「最終日に打っちゃった」。74を打って31位タイに「もう2ストローク、いや1ストロークでもいい。良いスコアで上がっていたら…」。

今週まで、薄氷の戦いを引っ張ることもなかったのだが、今さら言っても仕方ない。
「もうちょい」と、細川は力を込めた。
「今週はもうちょい、気を引き締めて頑張ります!!」。

そのほかのベテラン勢なら、賞金ランク83位の横田真一もシード落ちの危機だ。一昨年のキヤノンオープンで得た複数年シードも今季限りで期限切れで、「今週は最低でもトップ10入りが必要です」。
現状は把握しているが、横田は強いて自分を追い込むことをやめている。

シード落ちの憂き目はすでに、2006年に一度経験済みで「こういう状況には慣れている」。
次週は、来季の出場権をかけた予選会のファイナルQTに挑むという覚悟も出来ている。
また今は、順天堂大学・医学部の研修生の肩書きを持ち、二足のわらじに「落ちても保険はある」との気持ちの余裕に「だから緊張はしていない」。

その一方で、「でもやっぱり現役にはこだわりたいと、諦めきれない自分もいて。自分はまだ、そんなにヘボじゃないと思うしね」。横田には、2つの感情の狭間で揺れながらの1週間となりそうだ。

  • 片山(左)と談笑中の細川。顔では笑っても、心は引き締まっている
  • 横田は2つの思いの狭間で揺れて…

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