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日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills 2012

ルーキーの川村昌弘が6連続バーディで2位タイに

強い紫外線から目を守る目的で、この春卒業したばかりの福井工業大学付属福井高校時代から、かけ始めたというサングラスも、外せば18歳なりのあどけない素顔がのぞく。この日のスコアも、スタートから天真爛漫に伸ばした。

練習日からショットの調子が良くて、水曜日に初めて18ホールを回った際には、一度もフェアウェイを外さなかった。
1番からバーディが3つ続いた前日の記憶に、宍戸のハウスキャディさんと「今日は4番でも取れれば“新記録”ですね」と、笑い合った。
「それが、またそっから3つも続いてしまった」と、初日のスタートホールからの6連続バーディは、99年のJGTO発足以降の新記録である。

「このコースは6番までチャンスがある。それまでになんとか伸ばしておきたい。そう思ったのが全部取れてしまった」と、のほほんと笑う。

7番でも惜しいチャンスを外して記録は途絶えたが、「良い貯金が出来ましたので」。
練習ラウンドで、「後半は難しいホールが続く。ラフに入ったら、必ずペナルティを払うコースだ」と、覚悟はしていたから8番や、10番からの連続ボギーでも、なおさら落ち着き払って対応出来た。

今季デビューしたばかりのルーキーには、目の前で起こるすべてが初体験。
ホールアウトした当時は、5アンダーの単独首位に、初めて会見場に座った。
「いや、なんかもう、場違いのような気がして」と、すべすべの頬がほんのりと染まる。
初めての宍戸はまだこれで2ラウンド目に、「フェアウェイ幅など、まだつかみ切れていないところもあって。先入観もなく、あのあたりに、というように打ったのが良かった」と、初々しく微笑んだ。

先週まで開幕から6戦ですべて予選通過を果たし、すでに獲得賞金は1200万円余。18歳が、無欲の快進撃を続けている。同じくルーキーの藤本佳則が、「目標は優勝」ときっぱりと言うのに対して「僕は別に優勝とかは考えてないんです」と、川村は常に言う。

それよりも、目指しているというのが「疲れを明日に残さず毎日、元気にティグラウンドに立つこと」。ホールアウト後はツアーに帯同するフィットネスカー「プレージャー」に必ず通い、成瀬克弘トレーナーのマッサージを受ける。
そして、夜は宿の風呂に入浴剤を沈めて浴槽に浸かるのが、ささやかな楽しみだ。

あとは、いっときも早くツアーに溶け込むこと。
今大会のプレイベントは今年の4月30日に、都内の六本木ヒルズで行われた「ファンとの集い」で深堀圭一郎が言っていた。
「川村くんは、いまどき珍しく礼儀正しい子です」。

ツアーデビュー戦となった開幕戦の会場で、わざわざ深堀を探してロッカールームにやってきた川村は「今年からツアーに参りました川村です。よろしくお願いします!」と元気な声で言って、深々と頭を下げたという。
「みなさんに、顔を覚えていただきたくて」と照れながら、「僕が一番下なので」と、2戦目あたりまでは先輩方への挨拶回りに明け暮れた。
その中で、失敗もちょっぴり。「一度、挨拶した方に、また行っちゃって。『こないだ挨拶してもらったよ』と。失礼なことをしちゃいました」と、その点では恐縮しきりだ。

個性的なウェアやヘアスタイルで魅せる藤本に対して「見てのとおり、僕にこだわりは全然ないです」とこの日のピンクのウェアも「メーカーの方にいただいたもの」と、おしゃれにはとんと無頓着。
趣味らしい趣味といえば「音楽に、読書」と、素顔はいたって普通の18歳は、オフの気晴らしも「たまに中学時代の友人とご飯を食べに行くくらい。あとはずっと寝ている」と、今週月曜日は三重県の実家で、延べ20時間も寝続けたという。
今大会は、5年シードのメジャー戦も「それより僕には、とにかく1打1打が勉強です」と、ビッグタイトルにもどこか無頓着だ。

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