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日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills 2012

こちらは22歳のルーキー、藤本佳則は今週も笑顔のV争い

敏腕なのに、ちょっぴり天然、前村さん(右)と今週も笑顔の二人三脚で、宍戸をゆく
ゴルフは個人プレーだが、たった一人では苦労も喜びも分かち合えない。全力プレーも支えてくれる家族に友人、応援してくれるファンがいてくれてこそ。藤本が、今年ツアーデビューを果たして改めて、身にしみたことのひとつである。

そんな人たちによりたくさん喜んでもらいたくて、藤本はプレー中に、強いて笑顔を見せるようになった。
「僕が楽しそうにプレーすることが、恩返しのひとつだと思うので」。
どんなミスにも、大きな笑顔で対処するようになった。

それにかたわらの相棒の愛すべきキャラには、なおさら笑わずにいられない。
今季は、デビュー戦からバッグを担ぐ前村直昭さんは長年、伊澤利光のキャディをつとめて数々の勝利へと導いてきた敏腕。しかも今大会では、伊澤の2度の優勝をアシストした名物キャディだが、「直さんは、いい味出してる」。

16番で、右に外して「ここはアプローチをせなあかんとこ」。
それなのに前村さんは「普通に、パターを渡してきた」という。

「いや違うでしょ」と藤本
「あ、ごめんごめん」と前村さん。

「直さんはそういうことを、たまに素でやってくるので」。
だから藤本も自然と笑みがこぼれてしまう。どんなピンチもいつの間にか、笑いながら乗り切っている。

昨年は、東北福祉大の最終学年を迎えたついこないだまで、セルフバックで回っていた。
「一人では、笑うわけにはいかんでしょ」。
いまは一緒に笑い合える相棒と、足並み揃えてコースを歩ける充実感も、プロになった醍醐味のひとつだ。

先週の最終日は、思うようにパットが決まらずさすがに顔がこわばった。それだから、なおさら痛感した。「僕は笑ってやっているときのほうが、良いプレーが出来ている」。

この日5つのバーディはもちろん、10番では3パット、14番ではバンカー目玉のボギーも、笑顔でやり過ごした。
17番で20メートルのバーディトライに「4パット」を覚悟した際にも、18番はグリーン奥のディボット跡に打ち込んだ時でさえ、笑顔で向き合えたからパーでしのげた。

この日は暫定3位タイに浮上して、今週も優勝争いに加わったベテランの藤田寛之は、「藤本くんは、いつ勝ってもおかしくない選手」と言った。
デビューからわずか5戦目のこのツアープレーヤーNO.1決定戦でも、相変わらずそれを匂わせる好位置で、大会を折り返した。
22歳のルーキーが、笑顔のV争いで宍戸を賑わす。

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