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〜全英への道〜ミズノオープン 2012
今年もクラレットジャグがやってきた!!
24日(日)の決着を前に、今年もはるばるイギリスから栄光の優勝杯が届けられた。
23日(土)に、英国ゴルフ協会の「ロイヤルアンドエインシェントゴルフクラブ(R&A)」のドミニク・ウォール氏(=写真右)と、デービッド・ワイバー氏(=同左)が“クラレットジャグ”を携えて、会場の岡山県はJFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部にやってきた。
最終日を前に、大会主催のミズノ株式会社の水野明人・代表取締役社長(=中央)に託された。
さらに最終日には、水野社長の手から勝者に贈られる。
“クラレットジャグ”とは、全英オープンの優勝カップのことで、その昔、イギリスで行われたゴルフ競技会で、チャンピオンの栄誉をたたえるために、銀製の赤ぶどう酒用のジョッキを贈ったのが原型と言われる。
これと同じ型の優勝杯が今大会に寄贈されたのは、今から12年前のことである。
世界5大陸で全英オープンの出場権をかけた予選会「インターナショナルファイナルクォリファイング(IFQ)」が始まったのが、2004年。
“全英オープン日本予選”がスタートしたのは、さらにさかのぼって93年。
R&Aが世界中に門戸を開くその10年以上も前から日本ツアーには、多くの出場枠が設けられていたことになる。
毎年のように、R&Aの役員がわざわざ海を渡って直々に、優勝杯のクラレットジャグを会場に届けてくださるのは、全英オープンのオフィシャルスポンサーをつとめるミズノ株式会社との親交の深さゆえである。
この日本予選の最終戦を勝ち抜いた6人のほかにも、昨年の日本オープンの覇者や昨年の賞金ランクの上位2名など、今年もジャパンゴルフツアーメンバーが、大挙してかの地に乗り込む。
141回を迎える世界最古のメジャー戦。今年、その舞台となるリンクスコースは、イングランドのロイヤルリザム&セントアンズだ。
アイルランド海を臨む緑豊かなコースは、数ホールで鉄道が横切るなどユニークな風景も見ものだ。
そして一番の特徴は、なんといっても点在する無数のバンカー。計206個は、ほかのどの全英オープンの開催コースよりも多く、2001年大会で経験がある手嶋多一も佐藤信人も、「入れたら必ず1打のペナルティを払う。いかにバンカーを避けて通るかが鍵を握る」と語っている。
5月の長雨で、ラフもかなりの密集度という。ワイバー氏は「攻撃性よりも、考えて攻める。より戦略性が問われるコース」と言った。リンクスコースにしては珍しく各コースがセパレートされており、狙い所はめっぽう狭い。
今年は前回開催の2001年大会から改造が加えられ、特に6番、7番、8番が顕著という。この3ホールはもっともスコアの稼ぎどころとされてきたが、6番がパー5からパー4に変更されるなど距離が伸びて、なじみの選手でもプランの変更を余儀なくされることだろう。
ここでの開催は11回目となる。もっとも古い1926年は伝説のプレーヤー、ボビー・ジョーンズが制した。
全英オープン5勝を誇る豪州のピーター・トムソンは1958年大会。1974年の開催ではゲーリー・プレーヤーが栄光を手にした。
数々の名勝負の中でも、とりわけ語り草は1979年。今は亡き、セベ・バレステロスの「カーパーク・ショット」。つまり、“駐車場からのリカバリーショット”など、どこからでも寄せる奇跡的な小技で勝った。
一昨年にこの世を去ってから、同コースで初めての開催でもある。改めて、天才セベの在りし日を悼む地元ファンも多いことだろう。
また今年はロンドンオリンピックを翌週に控えて世界中の注目がイギリスに集まっている。
日本のサムライたちが、一足お先にビッグニュースを届けてくれるか。