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とおとうみ浜松オープン 2012
藤本佳則が首位キープ
インスタートの11番は、初日にサンドウェッジを握った第2打で、この日は5番アイアンを持ったほど。前日にはアンダーパーの選手が117人も出たコースとは思えない。
グリーンに吹きすさぶ風は、本来のラインさえねじ曲げた。厳しい条件に、藤本もボギーが先行した。それでも、ルーキーの表情から笑顔が消えることはなかった。
「イライラしてやっても、いいようにはいかない」。難しい状況に、難しい顔でラウンドしても、いいことは何ひとつない。
ならば、「楽しくやったほうが、見ている人にも喜んでもらえる」。笑顔のラウンドは、日頃から応援してくださる方へのルーキーからの精一杯の恩返しだ。
また、「僕自身も良いゴルフが出来るという手応えも、あったので」。これで2日連続首位キープは「僕のような新人が、出来るわけがないだろうと思われた方も、いらっしゃるかもしれない。でも僕自身は良いゴルフをすれば、1位を守れるというのはありましたので」。
言葉の端々にそこはかとなく、自信がにじむ。
大会は残り2日。最終日の最終ホールこそ、1位のまま終われれば、それが最大の恩返しになるのは間違いない。
「勝って僕が喜んでいる姿を見てもらうことが、一番のプレゼントだと思うので」。
ツアーデビュー戦となった今季の開幕戦で得た初賞金で、母るみさんに帽子を贈った孝行息子が、人生最大の恩返しに挑む。