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コカ・コーラ東海クラシック 2013
片山晋呉が三好で驚愕の64をマーク
「まぐれ、まぐれ。三好で64なんて。まぐれしかありえない」と、なぜか本人までもがよそ事のように、苦笑を漏らしたが、まだここで勝ち星はなくても昨年も含め、再三の優勝争いを繰り広げるなど、相性の良い三好だ。
難コースで今年も、永久シードの技を駆使した。圧巻は特に上がりの2ホールだった。
8番は、230ヤードと距離のあるパー3。片山でさえ、「グリーンの左に外してアプローチで勝負するか」と安全ルートが頭をよぎった。
しかしこの日はインからの、いわゆる“裏街道”からのスタートで、しかも3日目で、保険をかける必要性も感じなかった。
「一番、技術がいるやつで行こう」と、クリークを握った。右端のピン位置に対して左からのアゲンストの風は、手前にバンカー、右側には池が口を開けるロケーションは、嫌でも数々のハザードが目に飛び込んでくる状況の中で、果敢にピンを狙った。手前1,5メートルにぴたりとつけた。
最後の9番も、2打目は大きなディボット跡から、8番アイアンを開いて構え、スピンをかけて、見事にグリーンをとらえた。渾身のパーセーブにも、「まぐれまぐれ」と、なぜか苦笑いで煙に巻く。通算6オーバーは、49位タイで決勝ラウンドに進出した2日目から、首位と4打差の通算2アンダーは、7位タイで一気に優勝争いに突入だ。
「そんな・・・甘いもんじゃないよ〜」と、相変わらずはぐらかしながらも、「まあ今日ね、こうして出ただけでも」と、隠しきれない充実感も漂う。
先週の「アジアパシフィック パナソニックオープン」でも、難しい茨木カンツリー倶楽部で、初日に8アンダーを出して他の選手たちから「あり得ない」と、賞賛を浴びたばかりだ。
本人も「いつ勝ってもいい状態」と、完璧に材料が揃った中で、「毎週のように、こうして大きなスコアが出ているのは、楽しいですね」。
今週は、今年7月の結婚を機に退職するまでの14年間を、ここ三好でハウスキャディをつとめた前田慶子さんとの初タッグ。さすがに、専属キャディの佐藤賢和さんとのようにはいかずに「俺が教えるばっかりで疲れたよ」とわざと顔をしかめたが、5番では息もぴったりに2人意見を揃えてバーディを奪うなど、近頃は後進の指導にも力を入れる教え上手のベテランが、楽しそうに三好を歩く。