Tournament article

日本ゴルフツアー選手権 Shishido Hills 2013

初日120位から3日目に10位へ!! 急上昇の岩田寛

誰かのアドバイスを聞いて良いのも、時と場合による。それを身をもって知った。さかのぼること3年ほど前だ。「お前は常に攻めすぎるから良くない。もっと頭を使えよ」。

自覚もあったから、助言はありがたく受け止めた。さっそく手堅いプレースタイルに“転身”。確かに、ボギーの数は減ったかもしれない。

同時にバーディの数も減った。「ここ数年は、初日に60位以下で出た週は、必ず予選落ちをする」。巻き返しが必要なときでも、守りのゴルフをしていたら、そうなった。
「ゴルフも面白くなくなった」。

フェアウェイセンターに置いて、グリーンの真ん中を狙って「堅く、堅く」。でも、常にそんなプレースタイルでは、「左のピン位置なら左から。右なら右から」と、あえて狭いエリアから、リスクを背負って狙っていくゴルフにこそ醍醐味を感じていた岩田には、物足りない。

「バーディも取れる気がしない」。今週も初日に78を打って、120位タイと出遅れた。
予選突破を賭けて、「もう、自分のやりたいようにやろう」と、ふいに開き直って従来の攻撃ゴルフに戻したとたんに65を出して、みごとに決勝進出。
そしてこの日の3日目は、4番からの3連続。また10番から怒濤の4連続を奪うなど、8つのバーディで66をマークして、10位タイ浮上だ。

連日の好スコアも「いま調子が良いから出来ることであって」。やみくもに攻めるゴルフを展開すれば、それこそ「頭が悪い」と言われても仕方ない。
ピンチを迎えれば、「そこは謙虚に寄せやすいところに打たなければ」。攻めどきと、守りどき。難コースでは、その絶妙のバランスこそ鍵を握る。

雨の中、ずぶ濡れで上がってきたら、恩師がクラブハウスで待ち構えていた。東北福祉大の阿部靖彦・ゴルフ部監督に「おいヒロシ、優作も先週、九州オープンで勝ったし、次はお前の番だ」と、初優勝を厳命されたが、監督がその場を去ってからぽつりと「あまり僕のココロには、響いてませんけど・・・」。いつも淡々とマイペースが岩田にはよく似合う。

関連記事