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長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント 2013

丸山茂樹が今季初戦

これが今季、試合で初めて着るゴルフウェアだ。今年はこれまで“3戦”とも、すべてスーツ姿での参加だった。開幕戦の東建ホームメイトカップで“デビュー”を果たしたあとは、日本プロと全米オープン。いずれも大舞台で、披露した巧みな話術。
日本ツアーは通算10勝と、米ツアー3勝の雄ならではの視線と、ファンにも分かりやすい解説はどれも好評で、テレビ中継を見た“同業者”でもある選手たちからも「あのときの、あのコメントの意図を詳しく教えて欲しい」と尋ねられることも。

深刻な左手親指付け根痛で、今季は治療に専念。戦線離脱のまっただ中を活用して引き受けた、テレビ解説の仕事はある意味、もともと話芸に長けた丸山にとっては、もうひとつの“天職”とも言える。

「自宅でテレビを見ながら息子に今のプレーを説明してやるのをテレビでは、少しフォーマルにする感じかな。プロゴルファーだからこそ分かることもあるし、プロゴルファーだからこそ言いたいけど、これは言っちゃいけないと抑える部分もあって。少し離れて見るからこそ分かることもあるし、自分もこう打ってみようかな、とか。気づく部分もあって面白い」と、本人も“副業”をエンジョイしている。

他の選手たちのプレーをロープの外から見るからこそ、より鮮明に見えてくるもの。「そういえば、アプローチってそういう打ち方もあったよな、とか」。この経験を、今週の今季初戦でぜひ存分に生かしたいと思うが、いまはまだ強気なことが言えないのが残念だ。

「手はやっぱり全然だめです」。医師から、手術以外で完治の見込みはないとの診断を受けたが逡巡の末に、ひとまず定期的に患部に痛み止めの注射を打つ方法で、様子を見ることにした。
「確かに、以前の10から6くらいまでは、痛みが減っているとは思う」。
そうかといって、全力でゴルフに打ち込めるというわけではなく、普段は1日100球程度の打ち込みがギリギリ限界。
今週は月曜日からこの日水曜日まで、本当に久しぶりに3日連続のラウンドで案の定、手の腫れは日に日に、どんどん膨らんでいくばかりだ。

前日火曜日は、松山英樹と練習ラウンドをした。「俺から何か吸収したいと。俺の話を聞いてみたいと彼のほうから来てくれた」。そんな21歳の熱意が嬉しくて、本当は9ホールだけで済ますつもりが、もうハーフ行きたいと、松山に言われてついレッスンにも力が入った。
特にグリーン回りのアプローチは、まだ経験の浅い松山には、伝えておきたいことばかりで、指導にも時間をかけた。丸山の「そのスイングは違うんじゃないか」とのアドバイスも素直に聞き入れ、「後半のハーフは別人だった」と、たちまちショットにも、本来のキレを取り戻す様子には、後進の育成にも力を入れる丸山にはなおさら、痛みを堪えて付き合った価値は、大いにあった。

今大会主催のセガサミーと、所属契約を結んで3年目の今年はその“最終年度”に当たり、休養中の身ではあっても、「この大会には最初から出るつもりで、今年はこれを目指して調整してきた」。お世話になった恩人に恩返しがしたくて北海道までやってきた。
たとえ本調子ではなくても、「4日間プレーがしたい。最後まで、一生懸命にやるしかない」。今週はひとまず、マイクをクラブに握り替えて、全力でコースを歩き抜くつもりだ。

※当初、丸山選手が7月の全英オープンでもテレビ解説をつとめるという記述がありましたが、誤りでした。お詫びして訂正します。
  • マルちゃんの久しぶりの参戦に選手たちも嬉しそう! 選手会長の池田(右)もさっそくじゃれつく。

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