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ドラゴンカップ 2013
稲森佑貴も鈴木亨に脱帽
さらに後半に入って12番でバーディを奪い、10アンダーとした。惜しむらくは、この日唯一のボギーとなる15番ホール(パー3)でのミスだ。ティーショットを右のバンカーに入れてしまい、バンカーショットはうまく寄せたものの、パーパットは強く打ちすぎ、ボールはカップの淵を通り過ぎ、ボギーとした。
それでも16,18番でバーディを奪い、通算11アンダーでホールアウトした。この時点では首位に並んでいた。稲森はプレーオフに備え、パッティング練習にのぞんだ。しばらくすると、キャディを務める父親の兼隆さんに呼ばれた。何事かと思うと、18番グリーンサイドにあるリーダーボードの前まで連れて行かれた。
まさか、と思った。いつの間にか鈴木亨の名が13アンダーでボードの一番上にあった。残り1ホール、鈴木はインスタートだったので9番ホールを残すのみだった。この時点で2打差。優勝はほぼ絶望的だった。「びっくりした。鈴木さんの底力を見せられた」とお手上げだ。話を聞く間に、何度も「まさか」というフレーズが登場した。それが偽ざる心境だろう。
しかし「プロの世界は甘くないけど、やりがいがある」とふさぎこむ様子はない。2週連続して優勝は逃したものの「前日のスコア67をひとつ上回る」という、この日の目標である66をマークできたので、最低限の目標はクリアできた。
「調子は良かったし、いい感じで来ていた。あと一歩」と18歳の若者には、前進あるのみだ。「いい勉強になりました」という彼にも必ず栄光に包まれる日は来るはずだ。