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日本オープンゴルフ選手権競技 2014

最終日を前に、池田勇太が3打差の単独首位に

最終日を前に、ついに単独首位に立った。この日は特に、後半の9ホールが圧巻だった。13番では10メートルを放り込んだパットもさることながら、次の14番では、513ヤードと距離の長い最難関のパー4で、左のラフから会心の一撃だった。
目の前には丈高い木。ピンまでは、205ヤード。「高さも、距離もいる」。フライヤーも加味して池田が持ったクラブは「バカだと思わないでよ」と、珍しく照れ笑いで、「8番アイアン。・・・相当、振りましたけどね」とショートアイアンで打ったとは思えない。誰もが目を剥くスーパーショットも、本人はどこか言い訳がましく、落ちた地点は定かではないが、自分のピッチマークだと思われる跡は、手前のエッジについていた。おそらくそこからキックして、ピン奥8メートルに乗せてきた。
「あれは自分でもびっくりした」と本人こそ目を剥いて、「うまくいけば、手前から這いつくばって、どうにかしがみつくかとは思ったけれど。あそこまで、飛んでいるとは思わず」。
惜しくもバーディは逃したが、大事な局面でパーを拾って、次の16番でついにトップに躍り出た。
8メートルと、これまた長いバーディトライをねじ込んだ。

そしてこの日の池田は最後の最後まで、ギャラリーを沸かせる渾身プレー。18番の3打目は「60ヤードしかない。俺には一番めんど臭い距離」と、顔をしかめながらも絶妙の寄せ。ピンそばのバーディ締めで2位と3打差つけて、ついに決戦の日を迎える。

最終日最終組で回るのは片山晋呉。「シンゴさんは、もうこの大会で2度勝っていて、先輩でベテランで。3打差なんてどうなのと、多分思っていると思う」と、池田なりに推し量ってみた片山の胸の内。
「俺も、そこは気にしない」ときっぱりと「明日も、俺なりのゴルフをしながらご褒美・・・、バーディを待って、粘り強くやる」。
そう思うにつけても、「俺にしては、相当我慢していると思うよ。いつもはだいたい、途中で切れちゃうのに」と、今週の池田は一味違う。
「焦っても、のんびりしてても仕方ない。明日もちょうどよく、気持ちをコントロールしながらやる」。そう決めたのなら、たとえ何者にも気持ちが乱されてなるものか。

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