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ダンロップ・スリクソン福島オープン 2014

滑り込み出場! 髙橋竜彦が夫婦で支え合う好発進

長い長い1日は、脱水症状寸前。「よく無事に、上がって来られた」と、おしどり夫婦が労いあった。まさに、滑り込みで得たチャンスを生かす好発進だ。5アンダーの4位タイにも、「なんとか回りきるので必死で。それでかえって力が入らなくて、良かったのかな」と、ちょっぴりのぼせ顔で笑った。

スタートしたのは12時5分だが髙橋は、朝5時半からコースに来ていた。2006年の日本ゴルフツアー選手権でツアー2勝目をあげて、5年シードを獲得しながら2011年にシード落ち。
昨年は、ツアーの出場優先順位を決めるQTもサード落ちを喫して今大会は、現地ウェイティング制度を利用して、出番を待った。

この日は早朝6時半から競技が始まり、当日の繰り上げ出場を狙う選手はスタートの40分前に選手登録を済ませておかなければいけない。
「一応はコースに来たけど、ほとんど諦めていた」。
せっかくだから練習をして帰ろうと猛暑の中を、2時間弱も打ち込み、汗びっしょりの状態で、朗報は舞い込んだ。

体調不良で欠場を申し出た星野英正のかわりに出られることが分かったのが10時30分。すでに体力を消耗しきった状態で、午後からのラウンドは本当にきつかった。内助の功で乗りきった。酷暑の中、バッグを運んでくれる葉月さん。ラウンド中に、キンキンに凍らせたタオルを何枚も差し出すけなげな妻は、元女子プロゴルファー。
「良いときも悪いときも、僕の気持ちを分かって、変わらずに支えてくれる。本当に感謝しています」。日頃の恩に報いるためにも、この大会にはなんとしても出たかった。南相馬市にある葉月さんのご実家は、あのときすぐ目の前まで迫った大津波も、原発の避難区域からもわずかに逃れたが、ご両親が長く不便な生活を強いられたのには変わりない。

今年は16年ぶりに、ここ福島でトーナメントが開催されることになり、妻の実家を盛り上げたかった。しかし、今大会はまず2週前に行われた予選会に挑戦したものの、失敗。

それでも諦めずに来て良かった。
先週末に行われた伝統神事の相馬野馬追(そうまのまおい)祭は、葉月さんのお父様も参加され、それに合わせて夫婦揃って里帰りをしたついでに、ここグランディ那須白河ゴルフクラブに立ち寄って、本当に良かった。
南相馬市のご実家からここから車で2時間半かかる。「今日はあまりに急に決まったから無理だったけど」と残念そうに、葉月さんのご両親には2日目からコースに来てもらって親孝行をするつもり。

初日の好発進も手伝って、ご両親の前でなおさら堂々とプレーが出来そうだ。
「また必ずレギュラーツアーに戻ってきたい」と、語る髙橋。この日は、思いがけず松村道央と、藤本佳則という「いまもっとも旬な2人の中に入って、こんなにたくさんのギャラリーの方の前で、プレーをするのも久しぶりだったので、震えるほど緊張したけど、本当に楽しかった」と、真っ赤な顔で汗をぬぐった。
「こういう雰囲気を忘れずに、心に持ち続けることが大事」とこれを機会に改めて、復活を胸に期した40歳だ。

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