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東建ホームメイトカップ 2015

今季初シード入りの20歳。稲森佑貴の見聞録

昨季の賞金ランク75位は、いわゆる“第二シード”の枠ながら、出場わずか7試合で“初シード入り”を果たした20歳は、初出場の今大会に「開幕からこうして出させていただいたのは、光栄なこと」と、ぺこりと律儀に頭を下げた。

大会2日目は強い風のコンディションにも、じっと我慢の68は、このオフの成果だ。2月はJGTO主催の宮崎合宿に参加したあと、各地で断崖絶壁のコースや、強風のゴルフ場を渡り歩いて、マネジメント力を磨いてきた。

見聞も広めてきた。
昨年の12月には、ジャパンゴルフツアー表彰式に参加するため上京したついでに、いったんゴルフのことは忘れて、1週間の「贅沢旅行」。
中でも一番行ってみたかったのは「渋谷」という。ニュースでよく見るスクランブル交差点。「生で見て、感動した」。ギャルファッションの聖地「109」は、女子のショップしかないとわかっていても、中をのぞいてみたかった。「1階から6階まで。全部見たけど、本当に女性ばっかり」。
出身の熊本から出てきたゴルフ一途の20歳には、カルチャーショックの連続で、新しくなった東京駅も、「駅に行くこと自体が初めてでした」と、堪能しきりで帰ってきた。

“初シード入り”を果たしたといっても、生活は今までと全く変わずこの開幕戦もお父さんの運転で、キャンピングカーで乗り入れた。ジュニア時代から経費を切り詰めるつましい生活は、「たまにホテルに泊まると、かえってこんな贅沢していいのかな、と。居心地悪い。狭いところが好きなんで。

縦長の細い部屋があればベスト」と、お父さんと上下二段の車内ベッドが一番落ち着く。
遠征地では、まず“駅の道”を探すのが日課。今回も会場の東建多度カントリークラブ・名古屋から、10分もかからない“駅”から毎朝、5時に会場入りして試合に備える。
ラウンド後はコースの風呂でさっぱりとして、近くのスーパーで総菜を買い込み、チンして夕食。今年は、出られる試合も増えて、そんな毎日が毎週のように続きそうだ。

本人は、特に生活水準を上げることにはほとんど興味はないようだが、開幕戦からさっそくV争いに名乗りをあげて、いきなり飛躍のチャンスに「残り2日目も頑張っていきたい」と、意欲を示した。

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