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ANAオープン 2015
そして松村道央は師匠との同組対決で・・・
1ホールでも谷口に、飛距離でアドバンテージを取られれば、「谷口さんは、みんなに言いふり回る」。そんな師匠に序盤こそ、先を譲っていたが、後半インコースでどっと追い上げた。
最後の18番の2打目は、右奥のピン位置に対して「左の広いほうを狙って2パットでセーフティに行くのがセオリー」。頭では分かっていても最後、師匠に逆転のチャンスで本能が出た。「なんか、ピンを向いて打っていました」と、狭いほうを狙って、最後のバーディ狙い。
「あいつ、最後に俺を追い抜かしに来た。なんてやつだ」と、谷口の指摘にも涼しい顔で、「谷口さんも、最後の80センチのパーパットもいつになく、慎重だった」とすまし顔で牽制したが、松村がいつもひそかに目を剥くのは、そんな師匠の底抜けの負けず嫌いだ。
「一発でも僕よりティショットが前に行ったら、勝った勝ったと言い振り回す」。
そして、底抜けのプラス思考。兄弟子の武藤俊憲とは「5ヤードしか変わらないからと、勝った気になっている。それが、谷口さんの原動力。それで、自分の気持ちを高めている」。
47歳の今もなお、第一線で活躍し続ける秘訣がそこにある。「谷口さんのメンタル面は、勉強になる」。スタートする前から、15歳も下の弟子にライバル心剥き出しで、「そんな人と、肩を並べてスタートすると気持ちがいい」と、師匠とのラウンドは大いに刺激になった。
「今日は最後の2ホールくらいで谷口さんと2打差。ここからバーディ取って、谷口さんに追いついてやろうという気持ちでやっていた」と言ったとおりに帳尻を合わせてきた。
今季はこれまで、13試合で予選落ちが7つ。最高位は30位タイと元気がなかっただけに、「初日、こんな位置でスタートするのは久しぶり」と、がぜんやる気に。
「3日目終わってもこういう位置にいられれば、やれる自信も出てくる」との手応えを胸に「秋はたくさんあるビッグトーナメントで優勝するのが今の目標です」。師匠との同組対決を契機に、ツアー通算5勝目を視野に入れた。