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ブリヂストンオープン 2015

片山晋呉は悔しさこそがバネ

最終日は、いま一番可愛がっている弟子の目の前で、大会2勝目を狙う。通算7アンダーで終わった3日目は、同組の谷原とスコアで並んで「僕が先に出しときました」。スコアが良いもの順に、かつ前日のアテスト場で、先にスコアカードを出したものほど、うしろに組まれる決勝ラウンドの組み合わせで、片山は自らすすんで、弟子との直接対決を、お膳立てした。

「一緒に回って、そういうのも見せられたら」。ツアー通算28勝を誇る永久シード選手が、22歳の新人に勝るものといったら、数え切れないほどあるが、その中でも誇れるものは、「経験と自信」。

この日は、いつもの袖ケ浦とは真逆の風と、乾いて速さを増すグリーンは「目も少し出てきているのでは? 思ったように打ってもパットが入らない」と、42歳のベテランも例外なく苦しみながらも、「今はショットがいいし、ベースの底上げが出来ているから、良い風に転がると今回みたいにうまくいく」。

初日こそ、1アンダーは27位タイとおとなしいスタートも、今大会は出場17回のうち、2007年の優勝を含むトップ10入り12回と、抜群の相性の誇る袖ケ浦で今年もやっぱり、優勝争いに加わって、弟子の前に立ちはだかった。

今年デビューしたばかりの堀川には、「大事なことは、とりあえずシード選手になること」と、口を酸っぱくして言い聞かせている。「何が大事かよく考えなさないと言っている。ダボをボギーに治めるとかそういうことのほうが大事で、何でも無理して狙うな、と」。

互いにこぎつけた最終日最終組も、「彼は、いつ崩れるかと思ってたんだけど」とちょっぴり茶化して笑って「でも頑張っているから嬉しい」と、そんなふうにいつも気にかけている“弟子”を目の前に戦うのは“師匠”にとっては何かと落ち着かない部分もあるだろうが、それはそれ。

「始まったら僕が勝つということしか思っていない」と言い切った。読書の虫は、近頃読んだ本に感銘を受けた。「スポーツ選手が引きずっていいのは、悔しさだけだ、と。心に染みた」。大利根も、三好も、そして先週の日本オープンも、勝ちたい試合で勝ちきれないのが続いて、その悔しさを何よりの原料に、弟子を完璧に組み伏せてみせる。

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