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〜全英への道〜 ミズノオープン 2015

29年ぶりのホストVへ! 手嶋多一が首位タイに

プロ生活22年の46歳は、頑固一徹。これほどプロゴルフ界にトレーニングが普及しても、いまだにストレッチひとつ取り入れたことがない。ツアーでも有名な練習しないプロはこのオフは、昨季の日本プロを制した余波で、「ラウンドに誘われることが多くなって」と打ち明けたから、ではどれだけ回ったのかと思ったら、「1月、2月、3月で10回。2週に1回のペース」と、それも得意げに言ったから驚いた。

「いや、いつもは月に1回もしないので・・・」と、しゃあしゃあと、「でも最近は歳のせいで身体が硬くなり、トレーニングもしないといけないとは思うけど、スイングのときは動くのでね。まだしていないんですよ」。

同世代の谷口徹や、藤田寛之があれほど、ストイックに取り組む中でも、その“信念”は揺らぐことがない。「今年のオフは練習場も、1回行っただけ」と徹底して、生来授かった自分の天性を信じている。

試合中も「僕は、プロキャディにもラインは聞かない。いつも自分でやるのですが」という頑固な職人肌が、ここJFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部に限っては、その方針を変えた。
この大会で、ハウスキャディ歴25年の三島千春さんと、コンビを組んで4年目になる。最初2年は偶然だった。3年目の昨年からは、「僕のほうからお願いしている」。

上から見ただけでは分からない傾斜があると、口を揃える多くの選手たちに、手嶋も同感だ。
「僕がスライス、と読んでも、キャディさん(三島さん)はフックと。うっそ〜っと思いながら打つとやっぱりフックで。今日もそういうのがけっこうあった」と、5番からの5連続バーディも、「気持ち悪いくらいに入った」と、普通バーディを獲ったら、プロならドヤ顔で歓声に応えてもいいようなものだが、「こんなに入って・・・おかしいですよね」と、自分でも驚いたような顔で、ギャラリーに手を上げる様子が面白い。

三島キャディの絶妙のアシストもあり、今大会は1986年の中嶋常幸(当時)以来となる、ミズノ勢の優勝に、王手をかけることになり、日に日に感じる周囲の期待。
ミズノのみなさんの、手厚いサポートはむしろ、声高に「頑張れ」などと、選手に余分なプレッシャーをかけてこられる方は一人もおらずに「気遣ってもらっているのが分かるので」。それでかえって緊張してしまうというのもあるかもしれないが、「ミズノの大会で、ここまで頑張れているのは嬉しい」と、静かな闘志もわいてくる。

「優勝するというのはなかなか狙って出来ることではないけど、全英には引っかかりたい」。
自身3度目、13年ぶりの聖地への切符獲りもまた、ひとつ大きな恩返しにはなる。

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