「ボギーは全然来る。なんなら3、4個は来てもおかしくない。とりあえず1ホール1ホール。バーディ欲は出さないように」と無心でプレー。
「全部フェアウェイキープできたらそれに越したことはない。でもこれだけ吹いたら、針の穴に糸を通すレベルじゃないと」。
現在日本ツアーで平均79.980%を維持するキープ率も今週は60%台にとどまるが、「ラフに入れたら潔く出して、3打目勝負。そこからパーが獲れたらいい」と、得意技へのこだわりを捨ててひたむきに専心。
16番で、17メートルのバーディトライを決めるとそこから「3タテが来た」と、折り返しの1番まで4連続バーディを奪った。
米ツアー選手に紛れて、今週の平均パットは現在2位。
「きょうもパットがよく決まってくれた。貯金作り」と終盤6、7番も3~4メートルをそつなく沈めて連続バーディが来た。
ティショットを右の林に入れた距離の長い9番パー4(486ヤード)のボギー締めも想定内だ。
「きょうはだいぶ上手くいってくれたんじゃないか」。
難条件下で7バーディ、3ボギーの「67」に、身長169センチの背中が伸びた。
2019年(72位)と21年(CUT)で風の名所の「全英オープン」を経験し、怪物級の飛距離は、デシャンボーと同組で回った21年のWGC「ワークデイ選手権」で免疫をつけ、PGA仕様のセッティングは昨年の「全米プロ」で洗礼を受けている。
日本開催の本大会に初出場を果たしたのは2021年。
コロナ禍の当時、PGAツアー選手の欠場が相次ぎ、繰り上げが決まったのが当週の月曜で、前週会場の滋賀県から自宅の鹿児島⇒千葉へと大移動した末に会場入りした「飛び込み参戦」は、今も鮮明に記憶にある。
「あのときの経験があったので。今年は先週の日本オープンから想定し、しっかりと準備をして来られた」と、賞金8位の資格で入った今年は心の余裕も少しある。
「僕は飛距離も出ないしギャラリーのみなさんと、割と近い立ち位置でのプレーだと思うんですけど、それでもここまで出来るんだよ、と・・・」。
日本一曲げない男は日本開催のPGAツアーでパワーヒッターにも、難条件にも、大ギャラリーにも臆さず、堂々とフェアウェイを歩いている。