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日本オープンゴルフ選手権 2016

小平智は連覇にむけて「勝ちたい気持ちがこみ上げてきた」

オープンならではの、ピリッとした空気。「独特の雰囲気」。難コースへの警戒心。「硬くなっていた」。前半の11番から3連続ボギーを打ったが、焦りはなかった。
「打ったのは仕方ない。ここから落ち着いてやれれば」。徐々にゴルフを立て直してきた。
「後半は、ほとんどフェアウェイを外さなかった」。

後半3つの巻き返しこそ、昨年覇者の自覚のあらわれだった。

水曜日のディナーは、歴代覇者のみが許された勝者の晩餐。
開幕前夜は恒例の「チャンピオンズディナー」に今年、初めて平成生まれの覇者が加わった。
錚々たる面々の中でぽつりと落ち着かず、ウェルカムドリンクもソフトドリンクをチビチビやって「緊張します」。
コチコチのまま、ビッグネームと席を並べて、歓談が進むうちにやっと人心地ついてきたころに、2度の連覇で大会4勝を誇るレジェンドが口火を切った。
「若い選手には、まだ分からないかもしれないが」と、切り出したのは中嶋常幸。「この大会で、勝つ重みは、勝ったものにしか分からない。この年になって、やっと分かる。お前たちにもこの大会で優勝してよかったと、思うときが必ず来る」。

日本一の称号を得た者にしか味わえないタイトルの重み。
「やっぱり、ジャパンオープンは凄い試合なんだ、と。ジーンと来た」。
05年と08年の大会2勝を挙げている片山晋呉には、「1回だけじゃダメ。2回以上勝たなくちゃ。本物のチャンピオンじゃない」と言われて、またずんと来た。
この席に、座らなければ聞くこともなかった。
伝説の男たちの言葉が、若き覇者の心に重く響いた。

食事会の最後には、偉大な男たちと杯を囲んでその中心で、昨年覇者の小平だけ杯に手をかけ「もう一度、このトロフィーを獲りたい。優勝したいという気持ちがこみ上げてきた」。
連覇への思いを熱くした夜。
今年も最後まで、心を燃やし続ける。

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