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カシオワールドオープン 2016
池田勇太が単独首位に
決勝ラウンドを前に、池田が単独首位に立った。
伸び悩んだ初日に比べて、この日は凪の風。好機を逃さなかった。トーナメントコースレコードに並ぶ64を出した。面白いように、バーディを並べた。
2つ年上の練習仲間との約束も果たしてみせた。
前半アウトのインターバルで、ちょうどホールアウトしてきた正岡に「明日は一緒に回るから」。
大学の2つ先輩だが学生時代から、すでに実績はずっと上だった池田が教え役で、説教をするのもいつも池田。
今週は、シード権争いの渦中にいるのんびり屋の先輩には、「自分がどういう位置に立っているか。しっかり考えてやれば出来るのに、それを1年やらずにいたわけでしょ?」と手厳しく、「シード落ちしたら、金輪際つきあわないから」と、三行半まで突きつけて、おしりを叩いてきた。
この土壇場で「やっとそういうことをしだした」と半ば呆れる思いと、嬉しい思い。
「頑張って欲しい、という思い」。
自身は賞金レースと、正岡は賞金シードと、互いに大事な局面を迎えたこの週末こそ絶対に、一緒に過ごしたいと池田は考えた。
すでに、通算7アンダーで単独首位に立っていた正岡。
「俺も7までは、行こうと思っていた」。
16番の連続バーディでまずはノルマを達成すると、バンカーあごに打った17番では6メートルのパーパットを拾った。
最後は18番のチャンスホールのバーディ締めで、さらに1つへこませ先輩の前に、立ちはだかった。
まだ3日目ながら、正岡の初の最終組に花を添え、「明日は勝負というものを一緒にする。互いに伸ばし合い、最終日も連れていく」。
どちらかというと、せっかちな池田に比べて「竜二さんは“沖縄時間”」。池田の前では10分前行動を心がけ、気をつかっている風でも地元沖縄名物“なんくるないさ”を地で行く性格は、歯がゆさの中にも、癒やしがある。
「一緒にいてホッとする部分もある」。
互いにシビアな戦いの中でこそ、互いの存在に救われることもあればいい。