この日2日目は、ティショットをことごとくフェアウェイに置いて、「今日はゴルフが簡単でした」。完璧な1日の中でもただひとつ、大誤算も最高の形で切り抜けた。

2打目を池に入れた16番のパー5は、深いラフから「無茶をしたと今なら思う」。コースに挑戦するつもりで打った1打が痛恨の1打になった。「自分自身に腹が立った」とその瞬間のイライラも、しかしすぐに払拭出来た。

打ち直しの4打目を、ピン80センチにピッタリつけた。
渾身のパーセーブで、すぐに頬にえくぼが戻った。
「ここでボギー以上を打っていたら、明日以降のプレーに響いていたと思う」。この日は無傷で終われたことで、気分よく週末を迎えられる。

当時、世界1位のジョーダン・スピースを破ってツアー初優勝を飾ったのは1月。今季初戦の「SMBCシンガポールオープン」だ。
それまで何度も苦杯をなめて、次の2勝目は早く欲しいが「勝ちたいと、思ったところで、なかなか思い通りにいかないことも、よく知っているから。明日も1打1打、大事にプレーしていきたい」。
ニクラウスの設計コースでもう二度と、無謀な挑戦はしないつもりだ。

• 宋 永漢