Tournament article
フジサンケイクラシック 2017
歴代覇者の岩田寛は「そっとしておいて」
棒の心で好発進した。
「3アンダーで回れたのは良かった」と、ただその感想以外は「何も考えたくない。悩みたくない。そっとしておいて欲しい」。
苦しかったこの2年が、そのセリフに凝縮された。
2014年の今大会で、ツアー初優勝を飾ったのを機に翌2015年から挑戦したアメリカ。
深い苦悩の始まりだった。
徐々にショットの不振を極めて、「ミスショットをした夢で起きたり」。
眠れぬ夜は数知れず。
「前は、怒るか、悩むか。でも、僕の場合は怒らなくなったらやる気がなくなって、それもダメだし」。
気持ちの持っていきようにも、悩みに悩んだ2年間だった。
「ショットも、パットも全部ダメになってきちゃった」と八方塞がりの葛藤も、ついに2週前のウィンダム選手権で予選落ちを喫して、秋の入れ替え戦にも進めず、来季アメリカで戦う道は完全に断たれたことで、、今は思考停止の状態に陥っているようだ。
何も考える必要がなくなれば、それはそれで楽だがあまりに何も考えすぎないと、今度は「ミスパットばかり」。グリーン上では、あえてひとつ課題を作って、それを意識してやることで、抑止力にしているようだが、思い出のコースでの戦いが、本来の調子を取り戻すきっかけになればいい。
苦しんだ分、人の苦労も理解できる。
先週は、相談に乗ってやった上井がいきなりV争いで、復活の兆しを見せている。
「上井に比べたら、僕の悩みなんて大したことない」と、追随の首位タイスタート。
「明日からも、淡々とです」。
静かに、再浮上の機をうかがう。