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ダンロップ・スリクソン福島オープン 2018

19オーバーの翌週に20アンダーのホストV。秋吉翔太が通算2勝目

わずか28日目の2勝目!!
アメリカから戻るなり、主催者にホストVを献上した。秋吉が、ツアー初優勝からひと月と置かずに通算2勝目を飾った。
「昨年は、この大会から僕のゴルフ人生ががらりと変わった」。
スリクソンの契約プロが、その1年後に最高の形で恩返しを成功させた。

2打差から首位を追いかけた大混戦の最終日は、前半4つのバーディで応戦。13番で、6つめのバーディを奪うと、ついに山岡を捕らえた。14番からの連続バーディで、いよいよ単独のトップに立ったが17番のパー3では大ダフり。

「これはダメだ」と、思わず叫んだ。完全に池に入ったと思った。「でもギリギリ超えていた。運がある」。
ハザードを超え、ラフにあった2打目を寄せるパーで幸運を生かしきった。
並んで迎えた最後のパー5は、250ヤードの2打目を5Iで乗せて2パットのバーディで振り切った。

初優勝から28日目の快挙は日本勢としては、松山英樹の35日目を抜いて最速のV2だ(※)。
まさに激動の1ヶ月は先月末に、全米オープンの最終地区予選を1位で通過。
1日36ホールの死闘を制したその週末に、ミズノオープンでツアー初V。
意気揚々と、米初上陸した。初のメジャーはしかし惨敗だった。
シネコックヒルズで地獄を見た。
「ボギーとダボしかない。めった打ちにされた。あんなに楽しくなかったゴルフはダントツ一番」。
2日間19オーバーで、逃げ戻った。
その翌週には「こんなにバーディが獲れるのが楽しくて」。一気に鬱憤を晴らす20アンダーで優勝を飾ってみせた。

「こんなに早く2勝目が出来ると思ってなかった」。
全米オープンから、ただモンモンと帰ったわけではなかった。
現地の練習場で、ひしめく強豪たちをじっと観察して気がついた。
「日本ではハンドファーストで打つ人が多いのに、海外の選手はハンドレイトの人が多い」。
この日、最終日の10番で「ふわっと上げて1メートルに寄せた」。
グリーン左から、パーでしのいだあの1打も、アメリカから盗んできた小技のひとつだ。

苦い経験も、帰国するなり力に変えて、V争いを繰り広げた。
「ゴルフして、ご飯を食べて、日が暮れると眠くなる」。
時差ボケ知らずの健康体。「見たまんまの通りです!!」。疲れも見せずに乗り切った。
「去年の因縁も果たせた」。
昨年のこの大会は6位につけて、初シードにつなげた嬉しい記憶。
でも反面3日目に、プリファードライの処置ミスの2罰打でV争いから脱落したのは苦い記憶だ。
「いろんなことがあって、今年は優勝争いがしたかったし、ダンロップという看板を背負っている」。
雪辱やホストプロの重圧や、もろもろをいっぺんに吹き飛ばしてさっそく2勝目につなげてみせた。

1年で激変した秋吉の激動のゴルフ人生は、息つく間もなくまだまだ続く。
来月は全英オープンが控える。世界ランクの資格で、8月の全米プロの出場権も見えてきた。
「今まで何もなかった僕が、年間3つもメジャーに出れたら・・・。自分でもびっくり!!」。
全米オープンは、替えの効かない航空券に、早めの帰国も出来ずに週末まで現地にいても「もうこんなコースは見たくない・・・」。
土日のメジャー観戦を中止して、別コースを回りに行った。
「そこで食べたクラブバーガーは、めちゃ美味かった!!」。
嫌な思い出ばかりじゃない。まだ完全に、心が折れてしまったわけじゃない。
たった一度の挑戦で「自分は通用しない」と決めつけるにはまだ早い。
「次の全英オープンでは絶対に、予選通れるように頑張ります!!」。
何度でも、しぶとく挑み続ける。
カーヌスティでの土産話もまた楽しみだ。

※初優勝から2勝目までの最短日数記録
1位 J・M・シン 7日(2006年カシオワールドオープンーゴルフ日本シリーズJTカップ)
2位 P・マークセン 21日(2008年三菱ダイヤモンドカップーミズノオープン)
3位 崔京周 28日(1999年キリンオープンー宇部興産オープン)
3位 秋吉翔太 28日(2018年ミズノオープンーダンロップ・スリクソン福島オープン)
5位 松山英樹 35日(2013年つるやオープンーダイヤモンドカップ)

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