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日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills 2019
17番でカップインイーグル。堀川未来夢が宍戸を沸かせ続けた1日
いつも絶やさぬ笑顔が、ここ一番で輝いた。481ヤードと距離のある、池越えの17番。3日間平均4.544ストロークと最も難しいパー4で、フェアウェイから6Iで狙った193ヤードの2打目は、ピン手前1メートルを捕らえる完璧な1打。
キャディの清水重憲さんと声を揃えて「ついてくれ!」。
大声と共に、一度弾んだボールは、派手な音をたててカップイン。
「入った?」と清水さん。
「入った!」と万歳した手で、清水さんとハイタッチ。
「まさか、本当にまさかでした」と劇的イーグルに、夕暮れ時の宍戸がしばらく震えた。
本当に目まぐるしい1日だった。
この日、早朝6時半から出た第2ラウンドの残り6ホールはまさに一人旅。
前日初日にジャンボが去り、2日目のサスペンデッドに今度は同組の崔虎星(チェホソン)が右足痛を訴え棄権。
試合で初めて1人きりで回ることになり、リズムやペースを保つのは大変だったが、最後の18番では14メートルものバーディを沈めて2打差の単独首位に。
最終組で回ることになった、次の第3ラウンドまで4時間以上。
もてあますところを勝手知ったるコースのご厚意で、有意義に過ごすことができた。併設のロッジは学生時代にも、よく使わせてもらった。
「そこで寝巻に着替えて、2時間半ほど眠って、12時頃に起きて、シャワーを浴びて、もう一度"朝イチ"を作らせてもらった。いったんしっかりスイッチを切らせてもらった」。
まだまだ長い1日を、新しい気持ちで再びコースに出させてもらった。
昨年のダンロップフェニックスは最終ホールのボギーに敗れ、シーズン最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」では18番のダブルボギーでプレーオフにも臨めず、どんなに打ちのめされても絶やさぬ笑顔。
「高校時代に通ったゴルフスクールではスコアをつけず、まずゴルフを楽しむことを教えられた。それが今の原点になっている」。
この日の第3ラウンドでは15番で左に曲げて、隣の17番に打ち込む大ピンチもやはり笑っていて、初のテレビ解説で放送ブースに座った中嶋常幸が「俺にはできない」と、しきりに感心していた。
清水キャディのアドバイスで一度フェアウェイに戻して、4メートルのパーセーブは逃しても、笑顔で乗り切った。
自身5度目の最終日最終組で、相対するのは同い年の今平周吾。
昨季の賞金王には「かなわない」。昨年は、少し臆する気持ちもあったが、これまで直接対決は11度と、回を重ねるごとに苦手意識がなくなり「むしろ同級生とこの位置で戦えることのほうが嬉しい」。
次週は全米オープンを控えて、月曜日に共に発つ。
今年20回を迎える今大会で、初V者は8人。
キラキラネームの由来は、「未来に夢を」。
初メジャーに挑む直前、令和最初の国内メジャーで好敵手を退け20年目のリストに載る。