Tournament article
アジアパシフィックダイヤモンドカップゴルフ 2021
若くもなく、ベテランでもない…。石川遼は苦い思い出のコースで葛藤
その年、5月の「マンシングウェアオープンKSBカップ」で史上最年少&アマVを達成して、一大ブームを巻き起こした年。
大会時は16歳になったばかりだった。
練習と、予選ラウンドでも中嶋常幸と共に回って、レジェンドのゴルフに感嘆。
同時に、プロの厳しいセッティングに阻まれ、初の予選落ちを喫したコースでもある。
「ほとんど覚えていないですけど、非常に難しい」と、14年経った今もコースの印象はそのままだ。
開幕前日の12日は18ホールをラウンド。
でも、前日火曜日は「エア相模原」。近頃のルーティンどおり、クラブを持たずにコースをただ見て回るだけにした。
「歩いてコースチェックをすると変な先入観がない。(打った)結果がないので嫌なホールとか、イメージもない。フラットな視点で見られる」。
歩きながら、他の選手のプレーも横目でチェック。
「フェアウェイに落ちてから、どれくらい転がるか。自分で打つときは見えないものが、確認できる。選手によってキャリーが違うが、だいたいみんなのスピン量は分かっています。あの人で、これぐらい転がるのか、とか。落下地点を見ておくと、本戦のティーグラウンドでクラブに迷うことがなくなる」。
怖いもの知らずで立った14年前には考えもつかなかったルートで難コースにアプローチする。
選手会の副会長として開催を先導した先週の初主催試合「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ by サトウ食品」では、23歳の片岡尚之が初優勝を飾るなど、「大学生だったり、また大学を卒業してすぐの選手がポンポンポン、と上位に顔を出す時代になった」と、若い成長を喜ぶ。
「トーナメントのセッティングでプレーしてもらって、将来に生かしてほしい」と今月6日には、今週と同コースで石川が主宰するジュニア大会「石川遼インビテーショナル ジャパンジュニア&カレッジマスターズ2021」の今シリーズ2戦目を開催したばかり。
本大会にも出場する日体大の河本力さんが優勝を飾るなど、「これからが楽しみな選手がどんどん活躍している」と、期待を寄せる。
一方で、先週2位の宮本ら、今も一線を張るベテラン勢の活躍にも目を見張る。
52歳の手嶋多一と、先週の3日目に、同組になった時にもその話題で盛り上がったそうだが「僕(手嶋が勝った)2001年の『日本オープン』を観に行ってるんですよ。20年も前から今もずっと第一線でやられていて。どんだけうまいんだろって」。
17歳のプロ入りから13年を経て「自分も『遼さん』って、呼ばれることが増えちゃってるけど、『ベテラン』というのもおこがましくて」。
今年9月に30歳。
「ただ、若くもないな…」と、狭間で葛藤。
中堅への入り口に立つが「挑戦意欲だけは……はい(ニッコリ)」。
早熟だった少年も、いよいよ脂が乗りだすころだ。