この日は、首位につけた香妻と、3位タイの小林の2人から、偶然にも同じ名前が飛び出した。
永久シードの片山晋呉。
今年、半世紀の歴史を迎えた伝統の一戦で健在だ。
香妻と、小林をまとめて封じて節目の通算30勝に到達した2016年大会で、2006年の連覇を含む大会4勝目。
トップ10入りは8回。
48歳の今年もまた好相性の舞台で大混戦の2日目に、首位とわずかに2打差の7位タイで決勝ラウンドに進んだ。
大会5勝目をにらめる位置につける。
予選ラウンドは今季、シード権の確保に苦しむ4つ先輩の藤田寛之とプレー。
「僕もそろそろきついです」と、こぼしながらもV争い。
「このコースは技術がいるし、飛ぶだけじゃだめ。グリーンの速さとピン位置も結構厳しい。そういう意味では経験と技術と、足りないのは若さだけ」と、苦笑。
50歳も目前だがたゆまぬ鍛錬で、5度の賞金王を誇った頃(00年,04ー06年、08年)と比べて飛距離自体は落ちていない。
「平均の距離は当時と一緒。でも、そのころは20位とか、30位とかにいられたけど今は全く同じ飛距離で60位くらい。周りに飛ぶ人が出てきて、順位は落ちてしまうけど、20年経っても飛距離は落ちていないというのを誇りにやっています」と、気持ちを保つ。
昨年12月の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」に続いて、2度目のタッグを組んだベテランの清水重憲キャディは、数々の男女プロを賞金1位に導いたスゴ腕。
レジェンドプロとレジェンドキャディで英知と経験を持ち寄り加齢を補う。
「好きなコースでまだ戦えることが嬉しい」と、噛みしめる。
前日初日の4日に行われた新庄剛志さんのド派手な日本ハム・監督就任会見を見て「最高ですよ」と、それも励みに。
新庄さんとは同い年で、以前から親交があるといい、「凄い若手を発掘しそう」と、今からその手腕を想像して、ウキウキする。
現在ランク44位で、来年の賞金シードもしっかり確保。
でも、「そこは気にしていない。今年は、たまたま大丈夫でも来年、再来年はどうなるか。この歳で、あんまり自分を追い込みたくない。楽しまないと無理ですよ」と、今後は相性の良いコースや大会を絞ってのツアー出場も示唆。
「僕のこの体で48歳までやれているのが奇跡みたいなものだから。幸せですね」。
50周年記念大会で、また新たな伝説を打ち立てても不思議じゃない。