3、4年生時は学生寮で、3人同部屋となり、二段ベッドの上・下と簡易ベッドを競ってじゃんけん。
“優勝”の木村が二段の上段を陣取り、2番手の桂川が下段におさまり、いちばん負けた清水が簡易という“上下関係”で卒業までを過ごした。
成績は1年時に早々に清水が「日本学生」を制すと、桂川は「朝日杯」と「文部科学大臣杯」で優勝。そして木村は3年時に2つ下の中島啓太さんを抑えて「日本アマ」を制覇した。
「彼らが頑張っているから僕もと、同世代で高め合っていける仲間がいるのは凄くいいこと」(桂川)という関係性は、揃って2020年にプロ入りした今も良好だ。
清水も、木村も、「(桂川)有人(ゆうと)の今年の活躍は尊敬しかない」と、現在賞金1位を走る桂川を仰ぎ、特に今季はQTランク33位の資格で追う木村は、「僕なんか口きいてもらえるのかな・・・?」と笑ったが、もちろんそれはまったくの取り越し苦労。
木村も、清水も改めて驚嘆するのは、この期に及んでも言動から行動から、何から何まで、いっこうに変化のない桂川のたたずまいについて。
「有人はほんと、学生時代からずっとあんな感じ。初優勝後もまったく昔のまま」(清水)と、口を揃えて証言する。
桂川本人も、「いまは賞金1位ということで自然と注目はしていただきますが、僕としてはまだまだという感じで・・・」と、申し訳なさそうに現在の心境を語る。
「毎週、優勝を狙って結果を出すとか、いろんなタイプの選手がいると思うのですが、僕は気合いを入れると必ずダメになるほうで、逆に絶対にパープレー、と決めて回れた週は自然と上に行ける感じです」と、今季好調の一番の要因を説明したが今週のJGTO主催試合はそんな心がけこそ生きるコースだ。
「はい、今週も変わらずに頑張れそうです」とあくまで穏やかに、優しい声で意気込んだ。
会場の宍戸ヒルズカントリークラブは、大学1年時に行われたメーカー主催の大学対抗戦で、3人揃ってレギュラーメンバーで出場して優勝。
「勝ったご褒美に、みんなでアメリカ旅行に招待して頂いて、現地でオリジナルのウェッジやパターを作って頂いたのが本当に嬉しかった」(桂川)という思い出深いコースだ。
「いつも3人で、いつかプロでも一緒に優勝争いしたいと話している」という清水は先週の「ミズノオープン」で2週連続トップ10入りを果たし、同大会2日目に7位タイに浮上した木村は26位タイで大会を終了。
3人の調子が整いつつある。
「みんなで頑張って、結果が残せたら最高ですね」と、話す桂川はプロレス好きで、日大寮では一緒にテレビ観戦し、格闘家のエンターテナー性について語り合ったことも。
今週はいったん海外連戦から戻り、今季国内初戦を迎える昨季賞金2位の金谷拓実(東北福祉大出身)も3人と同学年。
JGTO主催のタイトル戦で期待の新世代が躍動する。