序盤は、抜きつ抜かれつ、最後は併走し、互いに並んで入った最終ホールで、岩田がバーディ締め。
「66」を記録し、1差の通算14アンダーで一人抜けたが、「68」で回り、通算13アンダーとした金谷も3位と3打差。
最終日では頭2つ抜けてのV争いを始める。
真一文字に口元を結び、自分とコースと向き合う。
2人とも、自分の世界に入らせたら随一だ。
年齢は離れているが、東北福祉大の先輩後輩。
この日は、互いに伸ばし合いの展開でも「特に何も…マイペースでやっていました」と、ぽつりと岩田。
金谷は、「難しいラウンドでしたが岩田選手が素晴らしいプレーをされていた。さすがだな」と、しっかりと先輩を称えた上で、「どこの大学でも外国人選手でも、高卒の選手でも、関係ないと思うので…」と、こちらも我が道を貫く。
最終日は再び最終組でぶつかるが、追う金谷は「明日も自分らしいプレーを続けて、優勝できるように頑張ります」と、いつもの抱負で締めくくった。
一方「今はまだ、何も思わない」という岩田。
「どういう気持ちでやるかは明日、回りながら決める」という。
常にスイングの試行錯誤を続ける修正魔は「毎球違うことをやっているので…」と、この日の3日目も、ラウンド中にアドレスの向きを変えたといい、「明日もスタート前の練習で打ってみて…。また明日も途中で変えるかもしれないし」と、ぽそぽそと話した。
あまり多くを語りすぎず、淡々と寡黙な2人。
でも、この日は囲み取材の最後に、ふいに岩田の熱い思いが覗いた。
なぜか突然、カクンと腰を折り、お辞儀の姿勢で地面に向かって言ったのは「母校と一緒に優勝したい」。
最終日の翌22日に行われる夏の甲子園の決勝戦。
「仙台育英と…」。
母校・野球部とのアベック優勝が目標らしい。
一見、素っ気ないけど一瞬、隠しきれない愛校心が溢れた.。