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パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ 2023

初出場で1Wを封印。米澤蓮「最後まで流されないプレーを」岩手期待の星!

右から5メートルのバーディパットで最後9番を締めくくると、ガッツポーズが出た。

未完の大器が自分を貫き2日連続の「66」。
プロは3季目。

米澤蓮(よねざわ・れん)が、初Vをにらめる位置で大会を折り返した。



左右にOB杭がちらつくコースで、事前に立てたプランは1Wの封印。

「狙うなら狙う。刻むなら刻む。迷うのが一番よくない」と今週、特に多用する3Wは「ティアップをすれば300ヤードほど。遜色なく飛ばせる」と、正確重視の豪打で攻略している。


21年に、プロ転向したと同時に発症したパットのイップスも、アマ選抜のナショナルチーム時からお世話になるジョーンズコーチの特訓や、この春の単身・豪州→NZツアー転戦で実戦経験を重ねて「いますごく自信を持って打てている」と、克服の兆しも見えている。

初出場の本大会は昨年、大学後輩の蟬川泰果(せみかわ・たいが)が2年連続のアマVを達成しており同世代の飛躍がめざましい今、「焦りは当然あります。とはいえ、自分もプロになってまだ2年経ってない。ゴルフ人生、まだまだこれから。我慢強く」と、忍の一字で好機をうかがう。


岩手県出身。
ご両親ともゴルフはしないが、テレビ中継のウッズを見て自らクラブを握った。

大リーグの大谷翔平さんや、佐々木朗希さんら、野球選手の活躍が華々しいが、県下で顕著な活躍をしているプロゴルファーは米澤だけ。

「雪国であまり環境がよくないから、とはよく言われることです。でもそれを理由にしたら、上達できない」。


夏は、ご両親に送り迎えを頼んで河川敷へ。
黙々と、ひとりゴルフで1日4ラウンドを重ねた。

冬場は自主トレも欠かさず、努力を重ねて小学時代の「東北ジュニア」で5勝。
盛岡中央高校の「東北高校選手権」で3連覇と負けなしだった。


仙台宮城の東北福祉大進学時は19年のアジア大会で、大学先輩の金谷拓実や、1つ下の中島らと金メダルにも貢献するなど、地元盛岡市内に何度もV垂れ幕を飾った知る人ぞ知る有名人だ。


「ゴルフでも、良い結果を出せれば注目してもらえる。自分がそのきっかけになれれば」と、夢を語る岩手期待の24歳が混戦のバーディ戦に割り込んだ。

「これだけの伸ばし合いだからこそ、1打に集中できる」と、黙々と猛進。「自分の決めたプランを続けて、流されないプレーを」。
自分を貫くその背中を、多くの地元ファンが見守っている。

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