プロ3年目の米澤蓮(よねざわ・れん)が、自身初の開幕戦で初日にボギーなしの「66」。
5アンダーでラウンドし、2打差の5位タイにつけた。
前半アウトの9ホールは9番のバーディひとつと静かだったが、後半13番で10メートルを決めると→14、16→17番と連続バーディを2度重ねてリーダーボードにすわった。
21年12月にプロ転向してから、「パットでどこに構えているかも分からなくなった」と、イップスと呼ばれる症状に悩んできたが、今オフはアマ時代に所属したナショナルチームのジョーンズ・コーチのつてを頼って、豪州ツアーに挑戦。
初戦の8位を皮切りに、計4戦に出場しながら「パターを変えたり、打ち方を変えたり。試合で試せたのが一番」と、改善の兆しを開幕初戦でさっそく活かせた。
豪州での2戦目時に自炊のホテルに宿泊し、郊外のスーパーへ1週間分の買い出しに出かけたが、帰りにタクシーが拾えず、気温37度の炎天下で3時間も待ちぼうけ。
「せっかく買った食材も帰ったら、ほとんどダメになっていて・・・。悲惨な思いをしました」と、泣きを見たのも振り返れば良い経験だ。
テレビ中継の見よう見まねでゴルフを始め、小学時代の「東北ジュニア」で5勝。
盛岡高校時は「東北高校選手権」で3連覇と勝ちまくり、東北福祉大では18年のアジア大会で、大学先輩の金谷拓実や1つ下の中島啓太らと金メダルにも貢献した。
プロの試合でも活躍し、19年の「アジアパシフィックダイヤモンドカップ」では1差の2位と快挙に迫った。
同年11月に、金谷が史上4人目のアマVを飾った「三井住友VISA太平洋マスターズ」では自身13位タイで先輩の偉業を祝うと共に、「自分も」と、学生時代を過ごしたが、実現しなかった。
卒業時は悔しさもあったが、「長い目でキャリアを見て我慢強く取り組まなければいけない。ピークは、今でなくてもいい」と、言い聞かせて頑張ってきた。
「回りを見てしまうと、焦って自分のプレーができなくなる。自分もできる、と逆に刺激に変えてやれれば」と、腰を据えて奮闘。
「自分はどちらかというと、いつも出遅れるタイプ。初日から、攻めるゴルフを目標に」と、今季初戦でさっそく課題克服の兆しもつかめた。
岩手県の盛岡市出身で、地元局「岩手めんこいテレビ」のサポートを受けるなど、期待の星。
先のWBCで、MVPを獲得した大谷翔平さんや、佐々木朗希さんなど「最近、野球で活躍する人は多いがいま、岩手でゴルフのツアーに出ている選手は僕1人だけ。ゴルフも盛り上げていきたいな」と23歳は夢見る。