日体大3年時の2021年に「パナソニックオープン」で史上5人目のアマVを達成した中島啓太(なかじま・けいた)と、昨年の「パナソニックオープン」と「日本オープン」とで史上6人目&初のアマ2勝を飾った蟬川泰果(せみかわ・たいが)が3打差の2位で名前を並べた。
杉浦は、中島や蟬川のアマVを見て、「自分もプロの試合で勝ちたい」と、思いを募らせてきた。
3人とも、アマ選抜のナショナルチームで切磋琢磨し、特に中島は、卒業時の慰労会で同チームの次キャプテンに杉浦を指名。
バトンを託したという点でも、杉浦は思い入れの強い存在だった。
最終日は“後継者”と同組になり「攻める姿勢や優勝を目指している姿は見せたいと思った。結果として追いつかなかったですが、いい優勝争いはできたと思う」と、最後18番も第2打を入れて追いつくくらいの気迫で懸命にプレーをしたという。
「偉そうなことは言えませんが」と前起きし、「ピンチの時に一瞬、タイミングを取って水を飲んだり、打ち急ぐところを待ったり。すごく落ち着いていて、ナショナルチームで育っているんだなと思いました」と、杉浦の成長に目を細める。
マスターズの出場権を狙った先月のアジアアマで予選敗退したり、中島や蟬川のように世界アマランク1位まで上り詰めたわけではなかったが、アマとして出る最後の試合で、結果と成果を示した杉浦。
中嶋は「この優勝を見せられたことが、次のナショナルチームにもつながると思う」と、称えた。
3打差で破れた最後18番で、杉浦をぎゅっと抱きしめ「ナショナルチーム、お疲れ様」と、労いの言葉をかけた。
また、8打差の8位タイから出て最終日の「66」で杉浦に迫った蟬川は「この優勝は何も不思議じゃない」と、断言。
「僕は去年の優勝で覚醒し、世界アマランク1位の称号をもらいましたけど、僕はぽっと出。学生時代は僕よりずっと前から杉浦のほうが活躍してきた。ずっと培ってきたのが凄い」と、褒めた。
「きょうはプロとしての意地で、アマチュア選手に簡単に勝ちを譲りたくない、というのもあったりしたんですけどそれ以上に杉浦が上手すぎた」と、昨年のアマ覇者がプロの立場で降参。
願ってもない構図で、歴史は受け継がれていく。
杉浦は、賞金は受け取れないため、本来のV賞金4000万円と、2位賞金2000万円を、中島と山分け。
蟬川も、今季の獲得賞金で1億円の大台を突破し、3位に浮上。残り2戦のレースが一気に面白くなってきた。
「まだまだ分からない。残り2試合を全力で勝ちに行きたい」と蟬川。
賞金1位の中島も「来週、優勝して現実的なものにしたいし、それくらいの気持ちで臨みたい」と、譲らない。