「なんでかな・・・鳥みたい。3歩進んですぐ、みたいな・・・」と笑うが、恩人の言葉は固く胸に刻んで忘れない。
稲森佑貴(いなもり・ゆうき)が、大会主催の国際スポーツ振興協会(ISPS)と所属契約を結んだのがコロナ禍の2020年。
半田晴久・会長の金言に励まされ続けて3年目。
今年、いよいよ実現した欧州と日本共催試合で言われたのが、「海外選手を凄い、と思わないこと」。
まるでWBCで、大谷翔平選手が「憧れるのをやめよう」と、チームメイトに言ったみたいに稲森の心に刺さった。
「欧州選手が飛ぶのは当たり前」と、腹をくくった。
「僕は、飛距離は出ないがセカンドオナーでビシビシつける」と、気合いを入れた。
ただ、今季は開幕戦から「悩みに悩んだ」とショットが本調子でなかった。
「クラブも、変えまくったが答えが出ないまま」。
業を煮やして今週は原点回帰。
「昔の、良かったころのクラブに戻して。思い切ってやってみよう」と、切羽詰まって本領発揮。
この日初日のフェアウェイキープは100%で、ダントツ1位。
7季連続曲げないショットが大事な一戦で、完璧によみがえった。
史上初の欧州と日本の共催試合は初日から、シビアなピン位置が選手らを悩ませたが稲森は、欧州ツアーが担当したともっぱらなインコースで、10番から3連続バーディを記録。
「たまたまですけど・・・上手くいった」と、グリーン上でも畏れず首位と3差の4アンダー発進した。
今オフは、アジアンツアー初戦のサウジから、オマーンと先週のベトナムに挑戦するなど積極的に海外を転戦してきた。
「なんか・・・カタコトですけど、英語で喋っていたのが抜けなくて。日本語が出てこない。脳の切り替えが上手くいってない」と、最近悩みの物忘れはそんなところにも。
だが、「ハンダファミリーの一員として、成績はしっかりと残していきたいです」と、ホストプロの使命は忘れない。