3月6日に、稲森佑貴(いなもり・ゆうき)が向かった宮崎県は、毎年11月のホスト大会「ダンロップフェニックス」の地元。
初心者用具のスナッグゴルフを使った実技講習会の冒頭で、大会のことを知っているか聞いたら、ほとんどの子が挙手してくれたのは、ホストプロとしても誇らしかった。
「僕も出てるんですよ」と言うと、わあっと歓声があがった。
「よかったら観に来てくれて、僕のほかにもたくさんプロが出ているから応援しに来てください」と、呼びかけると「は~い!!」と、無邪気な返事が返ってきた。
「そのうちうちの子も、こういう感じになるんですよね・・・」と、わくわくしないでいられない。
給食を挟んで、午後から「夢をもとう」の講習会で板書したゴルフ年表にはあえて書かなかったが、最新のビッグニュースは待望の第一子が、先月27日に無事誕生したこと。
「昨日は寝かしつけに手間取りました」と、こぼす割には、目がデレデレだった。
ゴルフの楽しさ、面白さを交代で伝えて歩く選手会のゴルフ伝道活動に参加するのはこれが2回目。
前回は、フェアウェイキープ1位を保持して5年目の2020年オフだった。
当時は通算勝ち星も19年の「日本オープン」だけだったし、まだ結婚もしていなかったが、昨年の新規大会「ACNチャンピオンシップ」で感泣の通算5勝目を飾った時には、妻の美穂さんの妊娠6ヶ月を公表していた。
幡地隆寛が勝った先週の「ニュージーランドオープン」も、今年は出場オファーを辞退し、予定日の前後はじっと遠出もせず、出産日は近場で調整していたゴルフ場から急いで駆けつけ無事、かわいらしい女の赤ちゃんとご対面。
最初は抱っこもこわごわだったが、今は「さくさくミルクもあげるし、おしめも替える」と、慣れた手つきで育児に励む。
この日は、休憩時間にスマホのアルバムを開いて「僕似かな・・・」と、ニコニコした。
「まだ生まれて2週間ですけど、じわじわと沸いています」。
急上昇中の父性を実感しながらの小学校訪問となった。
初対面から人なつこく、ゴルフへの興味をまっすぐに示してくれた倉岡小のみんな。
「小学生のころって即断即決で迷いがない。今の自分に足りない部分。昔は自分もそうだったのに、忘れてしまっている部分じゃないか。自分も迷わず、まっすぐにゴルフに向き合えたら」と、一児の父ホヤホヤがプロ14年目の原点回帰。
「ありがとうございました!」と、子どもたちから教室の天井も割れんばかりの謝意を受けたが、「僕のほうこそ、今日はみんなからたくさんの力をもらって、ツアーの開幕を迎えられます」と、伝道師こそ逆感謝だ。
「また、今年も優勝目指して頑張ります!」。
我が子に捧げる通算6勝目と共に、9季連続曲げないパパの偉業を目指すのは、もちろんだ。