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ヨネックスオープン広島 1999

湯原信光は、今季ツアー2戦目

 湯原信光は、17番ショート(167ヤード)で、あわやホールインワンの快ショット。7番アイアンで放たれた球は、一直線にカップにめがけて転がり、一瞬、カップの左をなめてわずかにオーバーした。
 入っていれば、賞金200万が手に入ったというのに、湯原に悔しがる素振りはない。
 むしろ、「こうして、プレーができるだけで、上出来なんです」とクールに語った。
 実は、湯原は今大会で今季ツアー出場2戦目。先々週のミズノが、いわば今年の “デビュー戦”だった。
 開幕直後。湯原は病院のベッドにいた。
 椎間板ヘルニア。
 約4週間、「トイレに行くのもままならない」状態で点滴を受ける毎日だった。
 退院してからは、「8月ころ復帰できればいい」と励んだトレーニングで、思いのほか早くめどがつき、2週前のミズノオープンで復帰したという。
 「でも、やっぱりプレー中は本能で腰をかばっているよ」。
 ホテルに帰れば大量の氷を風呂にぶちこみ、患部のケアに努めるなど、まだまだ手探り状態とはいえ、復帰第1戦のミズノオープンは45位タイフィニッシュ。
 今大会3日目は、“幻のエース”のおまけもつけて、5バーディ3ボギーの通算3アンダー。病床明けを感じさせないキレのいいゴルフで16位タイ浮上。
 急スピードで、試合カンを取り戻してきている湯原が、「今は多くは望まない。プレーできることが幸せなんです」と繰り返した言葉が印象的だった。

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