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ダンロップフェニックス 1999
丸山茂樹が、コースレコードを更新
「このホール、イーグル取って59を出すことしか頭になかった」という丸山はピンまで、残り234ヤードの第2打で、5番ウッド(クリーク)を握った。
「アゲンストの風が吹いていた。悪くてもバンカーまでいけばいい。思いきり振りきろう」と打ったショットは、右肩が突っ込み、グリーン左の松ノ木の裏側へ。
「きょう唯一のミスショット。アドレナリンが出すぎてた。最後にきてこんなショットを打つなんてボクもまだまだ。超一流選手ならここでバーディを取ってるはずだね」
松の木を見上げ、慎重に打ちだし角度を決めた。球を安全に通せる隙間は、わずか1メートル弱。
「飛び出し角度は6メートル。ピンまで20メートル以内に乗せて、できるだけピンに近付けられれば、きょうのパットの調子なら2パットで確実に入れられる」
クラブのバンスを使ってスライス回転のスピンをかけ、わずかな隙間を抜け、松の上を高々と超えた球は、ピンまで8メートル。見事なリカバリーショットだった。
1メートルを残したパーパットを打つときは「はずれたらどうしよう、って、体中、心臓になったみたいにどきどきした」と丸山。
これを沈めて最大のピンチを切りぬけ、10バーディ、ノーボギーの61という見事なスコアカードを完成させた。
1988年の第1ラウンドで出したフレッド・カプルスの62を1打更新。コースレコードをマークした。
「え、ほんとに!? 大好きな人(カプルス)を抜いちゃったの? うわ、めちゃくちゃ嬉しい! えっ!! それに50万円もくれるの!?(スポンサーのシーガイアグループ フェニックスカントリークラブより贈呈) きょうはパッと行こうか!」
前日の34位、通算3オーバーから7アンダー、3位タイでごぼう抜き。首位のガルシア、ビヨンとは3打差だ。
「きょうのゴルフは100点に近い。明日はこのフィーリングを体に染み込ませて追いかける。最終日にこそ爆発できることが、一流の証明だから」。
ニッポンを代表するエース、丸山茂樹がインターナショナルツアー第2戦の最終日を盛り上げる。