Tournament article
タマノイ酢よみうりオープン 2000
水巻善典が、通算17アンダー、2位と3打差でツアー7勝目をあげた
最終日のこの日は父の日。それまで、「パパの優勝シーンを見たことがなかった」という賢人君への、最高のプレゼントとなった。
「家族が一緒に歩いてくれることは、選手にとって1番の励みです。
今日は1番で奥から3メートルのバーディを奪って、キャデイさんと『早めにみんなを諦めさせちゃおう』って話していた。で、2番でも左手前から1メートルのバーディを取って…それと、今日1番、頑張れたのは3番。ティショット、3番アイアンで打ったんだけど、それが自分の思ったとおりに打てたこと(ピン手前6メートルにつけてバーディ)。ドライバーも調子はいいんだけど、それ以上にロングアイアンで一段と自分の思ったとおりのラインの球が出せるようになった。クラブへの信頼感、気に入ったクラブを使っているという気持ちが大きいんです。クラブを信用できるかできないか、というのは選手にとって非常に大切なことです。日本の選手は、特に上のほうの選手はよくクラブを変えるんだけど、あまりそういうふうなことは、しないほうがいいんじゃないか、と僕は思う。
自分のクラブが自分の手の一部になるくらい…使い始めてまだ半年くらいだけど、それに近いくらい、僕には合っています。
勝てるな、と確信したのは…そうですね。、16番で手前3メートルのバーディパットが入ったときですね。
13番のティグラウンドでリーダーボードを見る機会があったんですけど、僕らがいたときはちょうど30位から40位のあたりを掲示していて、『早く、変わってくれよ』と思ったんだけど変わらなくて…(笑)。
そこで順位ははっきりわからなかったんですけど、今日の朝、佐々木君とちょっと話しをしたときに、そのときの話しぶりがすごくよくてね。話し方のリズムが、ね。で、『あ、今日は佐々木君が来るな』と思ってて、やっぱり来ていた。一緒にまわっていた真板君は9番でボギーにして、ヒロ(宮瀬)も追いかけてきてたけど、10 番でボギーにして、だから、目の前の2人より、前にまわってる佐々木君、片山君が早いうちから気になっていましたね。
あと、17番の1.5メートルのパーパット。あれはちょっとやでしたね。いやでしたけれど、前のホールでバーディが取れていたから。
パッティングに不安があると、17番は絶対にはずしてしまう距離なんですけど、入るほうの気持ちのほうが強かった。ちょっと右にプッシュ気味で弱かったんですけどね。カップのふちから入ったんですが、はずしていたら、最後までドキドキしたと思う。精神的なものだと思うんですけど、はずしていたら、(2位の佐々木と2打差で迎えた)18番のティショットはアイアンで打っていたでしょうね。
やっぱり、左サイドにあんなにギャラリーの方がいてくれて、そこでアイアンを持っちゃいけないんじゃないかなって意識が働いたんですね。あそこは、ドライバーだとはるかにOBの確率が高い。でも、3番アイアンだと、絶対に6つであがれるから。
だけど、そういう気持ちの余裕が、逆にバンカー左に向かって少しドロー目の低い自分の思ったとおりの球が、打てた。それが非常に嬉しかったですね。
今日はプレーの合間、歩くとき、他の人のパットを待っているとき、いつも何かしら家族と目があいまし。それがとても励みになった。
昨日の夜は賢人に『パパ、勝ってね』と言われて、でもうちのやつが、あんまりプレッシャーかけちゃだめよ、って(笑)。
息子の言葉はプレッシャーにはならないけれど、やっぱりかっこいいところは見せてあげたいと思った。
ゴルフでじゃなくても、そういうふうに一生懸命頑張っている姿を覚えていてくれたらいいなあって…。
そういう点でも、今日は非常にいい1日でした。これからまだまだ先は長い。50歳になっても頑張って、こういう姿を息子にずっと見せていきたいと思う。そして、この子たちが大きくなったとき、日本ツアーが1万人とか、1万5000 人とか、それくらいお客さんが入るような、素晴らしい大会にしておいてやりたいと思う」