Tournament article
JCBクラシック仙台 2002
「仇は、討てたかな…」
完全に払拭するのに、丸1年を要した。
昨年6月の、タマノイ酢よみうりオープン。
福澤義光とのプレーオフ1ホール目に、ティショットを右OBで、あっけなく敗退。
その翌月のアイフルカップでは、台湾の林根基に、プレーオフ2ホール目に敗れた。
「失敗は、そうそうするもんじゃないですよ」と、鈴木。
あのときの残像は、そのあとも鈴木をたびたび苦しめ、なんでもないティショットでも、「また、右に曲げるんじゃないか?」との恐怖に、おびえることもしばしば、あったからだ。
「後遺症は、なかなか消えない。吹っ切るためには、相応の努力が、必要です」
普段から、いろいろと相談に乗ってもらう中嶋にも、この件では、ひとことも弱音を吐かなかった。
「これは、自分で、解決しなくちゃいけない問題」と、誰にも頼らず、ひとりもくもくと、つらい過去と真っ向から立ち向かってきたこの1年だった。
そして、その瞬間は、思わぬ形でやってきた。
尊敬してやまない、そして、「いまもっとも手ごわい相手」と、畏怖する中嶋との“プレーオフ”を制したことで、「去年の仇は、取れたかな…」
これ以上ないくらい、最高の形でのリベンジに成功した鈴木は、もう幻影に、怯えることもない。