Tournament article
Philip Morris K.K.Championship 2002
「今週は、少年のような気持ちで」
今季のゴルフは、常に高いレベルを保って、一定している。
それだけに、結果に表れてこない自分へのもどかしさで、クラブやバッグにやつあたりしたり、選択ミスをしたキャディを叱ったり。
「でも昨日、日本一になったジャイアンツの原監督が言ってた。小さいころから野球を愛し、ジャイアンツを心から愛してたって。僕もそう。ゴルフが好きでたまらない」
思い返してみれば一昨年前、初の賞金王に輝いた年。
勝つたびに、優勝インタビューで片山が繰り返し、ギャラリーに訴えた言葉がある。
“みなさんも、もっともっとゴルフを愛して、僕らの熱戦をぜひ会場に見に来てください―”
「あのときの自分を思い出して、そうだ、それほどにゴルフを愛しているのなら、ちょっとうまくいかなくたって、そんなにムカつくこともないじゃないか、と思えたんですよ」。
結果を焦るあまりに先ばかりを見て、「本質の部分が欠けていた自分」。それに気がついたら、「何かすごく吹っ切れて、解き放たれた」と片山はいう。
同時に、周りの人たちへの態度も、改めることに決めた。
たとえばキャディには、たとえミスジャッジしても単に叱りつけるのではなく、「やっぱり、こっちのほうが良かったよね」と、一緒に考えていく姿勢。
「そうでないと、相手を萎縮させてしまうし、これから先も良いアドバイスをもらえなくなってしまうでしょう。僕は周囲の人に支えられてゴルフができるのだから、味方になってくれる人たちの力も引き出すようにもっていかないと。しょせん、僕一人ではどうにもできないですからね」
いまは、「少年のような気持ち」で、プレーに打ち込んでいる、という片山。
気持ちを入れ替え力を抜くと、途端に、スコアに結びついた。
この日は、4番のイーグルを含む、65の7アンダー。
「ショット、パットともにいいし、今日は最初から、間違いなくこのくらいは出ると予感していた」とのコメントにも、自信が満ち溢れる。
一昨年前のこの大会時は、そのとき、賞金ランク首位だった佐藤と約7000万円差つけられていたが、終盤の4戦3勝で、逆転賞金王の座に。
あのときの再現で、2年ぶり2度目の栄冠へ―。
片山が目指すところは、ひとつしかない。