Tournament article
ゴルフ日本シリーズJTカップ 2002
「成長した2002年!」
“自作自演”の優勝劇は、さらに進化した“片山晋呉”の、お披露目の場でもあった。
「技術、精神力、体力。すべての面で自分でも、変ったな、と思う…」
前半9ホールは、いくつかのチャンスパットが、カップに嫌われたが、「イライラしない、相手も見ない」。
それどころか、「最高の集中力で」、目の前の1打に対峙している、片山がいた。
どんなに、大差をつけても、「ピンに対してのゴルフが、ゆるぎなく出来ていた」。
バンカーからPWで3メートルに寄せた7番パー4も、6番で左足下がりの難しいライからトライしたロブショットも、残り185ヤードから、5アイアンでピン右2メートルにつけた、9番パー4も…。
「普通だったら、そこは狙わなくても良いでしょうって位置。
これだけ差があるんだから、こっちに打ちましょう、じゃなくて…」。
どんな場面でも逃げず、積極的にピンを狙っていく、片山がいた。
最終戦を戦い抜いても、
「精神的には疲れているけれど、体は元気」
と言えるパワーは、毎日、欠かしたことのないハードトレーニングの成果だ。
「20ヤードは、間違いなく伸びている」という飛距離も、何も、新しいボールの効果だけでは、ないはずだ。
集大成は、やはり、クライマックスの18番ホール。手前から10メートルのバーディパット。
傾斜のきついグリーンは、少しでも弱ければ、転がり戻ってくる危険と、強すぎれば、転がり出て行く2つの危険をはらみ、その上、
(ノーボギーで上がりたい)
(優勝したい)
など、さまざまな欲望が交錯するシーン。
ここで、まったくシビれることなく、OK距離にぴたりと寄せた片山は、その瞬間、思わずパターを天に突き上げた。
「実は“順手(ノーマルグリップ)”での優勝は、初めてなんです!」。
イップスの兆候で、ずっとクロスハンドで握っていたグリップを、今週、6年ぶりに元に戻したことが奏功した。
「ドライバーからパッティングまで、同じ握り方にしたことで、プレーにつながりができたみたい。最後も、あれだけの長い距離を、ショートさせなかったことで、自分は本当に変ったと、感じることができました」
さまざまな“ニュー晋呉”を見せ付けた今季最終戦。
「成長した2002年、最高の締めくくり!」
…ランク3位で終えた今年は、賞金王に輝いた一昨年前よりも、むしろ内容の濃い1年間だった、といえるのかもしれない。