伊沢と前村さんのタッグは、もう7年になる。今大会第1回目の優勝のときも、もちろん、前村さんがバッグを担いでいた。当時を思い返しながら前村さんがいう。
「あのときは最終日が中止になって、伊沢さんは3日間での思いがけない優勝に、ロッカールームでガッツポーズしてたんです。でも今回は、ちゃんと4日間での勝利です（笑）」。
プレーヤーにとって、コースの中では、キャディが唯一の味方。その存在が、時には勝敗を左右することもある。前村さんは、伊沢が不振のときも、常にいちばん近くで支えてきた。伊沢のとなりに、前村さんありき。ファンのみなさんにも、すっかりおなじみの存在だろう。

1年8ヶ月ぶりの優勝は、前村さんにとっても格別なものだ。
「一時は、練習にも身が入らず、苦しんだ時期もあったようだけれど、6月にお会いした阿闍梨さんの言葉、『宇宙から、ゴルフ場を見下ろすような感覚でプレーをしなさい』というのが、今日の伊沢さんには実戦できていたんじゃないでしょうか。苦しんだ分、掴み取った今回の優勝は僕にとってもほんとうに最高です！」。
宍戸ヒルズ18番ホールの記念のフラッグを大事にポケットにしまって、仲間との胴上げの輪に加わった前村さんだった。

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• 伊澤 利光