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日本ゴルフツアー選手権宍戸ヒルズカップ 2003

宍戸ヒルズの主役たち①<ボランティア>スタートアナウンサー担当 小林博枝さん

初日は失敗してしまった小林さんだが、その明るい笑顔はミスをカバーして余りある。ギャラリーのみなさんからも、けなげな姿に「頑張って!」と声援がとんでいた。
間違えまい、とするほど早くなる胸の鼓動。緊張が高まっていく。
ゴルフは大好きだ。ほとんどの選手の名前も、そらで言える。
なのにこの日初日、9時45分スタートの「藤田寛之」の名前を「ふじたのりゆき」と、呼んでしまった。「どうしてなの・・・」呆然と自問自答しながら、思わず頭を抱えてしまったのは、今回、ボランティアで運営に協力くださっている小林博枝さん(=写真)。
この『日本ゴルフツアー選手権』には、第1回大会からの“皆勤賞”。高校時代に放送部だった小林さんがトーナメント会場で、ずっと興味を抱いていた仕事が、このスタートアナウンサーだった。1番ティで、各組ごとに名前を読み上げて、スタートを促す係。その声で、選手たちの1日がいよいよ始まる・・・。
そんな光景をいつも憧れの気持ちで、眺めていた小林さんは、とうとう今年、「実は、やってみたいんですけど・・・」思いきって“立候補”して、長年の夢が実現したのだった。
しかしひとつだけ、小林さんには大きな計算違いがあった。選手コールは、マイクを使うものとばかり思っていた。それがいざ本番では、なんと「肉声で」と言い渡されてしまった。
マイクを通さないとなると、相当に頑張って腹から声を絞り出さないとお客さんには聞こえない。
「そう思うと、余計に緊張してしまって・・・」。名前を正確に読み上げようとするプレッシャーとが重なって、とうとう第22組目の「藤田」の名前を、間違えてしまったのだった。
平謝りの小林さんに、当の藤田は「全然、構わないですよ。今日だけ“ふじたのりゆき”でいきますから」と言って優しい笑顔を向けてくれたのだが、小林さんはどこまでも自分に厳しかった。
「いいえダメです!! 1日の始まりに、名前を間違えるなんて絶対にあってはならないこと。それなのに気分を悪くさせてしまって・・・。謝っても謝りきれません・・・」と半泣きで反省しきり。「次は絶対に間違えない!」と、心に誓っていた小林さん。残り3日間も、奮闘が続く。
なお今週は、スタートアナウンサーをつとめる小林さんのほかに、スコアボード、ギャラリー整理、練習場、プレスルーム運営などの業務で、延べ約1000人強のボランティアのみなさんにご協力をいただいております。

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