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JCBクラシック仙台 2004
安定した生活をなげうって選んだ厳しいプロの道、その8年目につかんだ神山隆志の初優勝
安定した生活をなげうって選んだ厳しいプロの道、その8年目につかんだ神山隆志の初優勝
神山の父・和郎さんは、現在、東証一部上場企業の『日神不動産』を一代で築き上げた人物。そのおかげで、幼いころから、神山は恵まれた生活を送ってきた。
飛行機は、ファーストクラス以外に乗ったことがない。
昨年、丸山茂樹が米ツアー3勝目をあげたクライスラークラシックオブグリーンズボロ。その開催コー スのノースカロライナ州・フォレストオークスカントリークラブは、父の会社が経営している。そのほ か、アメリカに2コースを所有し、オフはそこで、好きなときにラウンドができた。
会社の2代目として跡を継げば、安定した将来が約束されていたかもしれない。
しかし、神山はゴルフを取った。日大4年時、プロ入りを決めた。プロテスト合格までに3年を要したが 、「うまくいってもいかなくても、とにかく、ゴルフが面白かった」。遠征費、宿泊費に、99年に結婚 した妻・晃子さんと4つになる長男・高太郎君の食費、養育費と、かさむ費用。加えて、腰痛に首痛と 深刻な故障が続き、苦労は絶えない。「…けどそれは、会社の経営も同じでしょう?」。幸い、父はそんな息子を暖かく見守ってくれた。
稼げない時期が続き、「やめてしまえば」という人も周囲にはいたが、父は黙って最低限のツアー遠征 費などを援助してくれた。
ようやくこれで、恩に報える。
「少しは一人前と、認めてくれるかな?」。29歳のときに自ら科した「3年」のノルマを、その3年目にようやく果たし「本当の厳しさは、まだまだこれから。やっとスタート地点に立てたんです」。この年末には、自ら二児の父となる大会社の御曹司は、この勝利でますます勝負の世界にのめりこんでいく。