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JCBクラシック仙台 2005
S・K・ホが完全優勝で今季2勝目、ツアー通算5勝目
今年、発足した韓国ツアーの大事なスポンサー試合が、同じ週に行われる予定だったからだ。
母国のスター選手であるSKも当然、出場を請われ、初めはそちらにエントリーしていた。
だが、開催コースの整備不良から、きゅうきょ日程変更が知らされたのは3週間前。
慌てて今大会への出場を決め、エントリーをしなおしたのだった。
そうしてせっかく出場にこぎつけたものの、いざ本番を迎えると、とてもまともに戦える状態とはいえなかった。
大会週の月曜日、兵庫県の小野ゴルフ倶楽部で行われた全米オープンの最終予選。1日36ホールとタフな上に、深堀圭一郎とプレーオフで出場権を争って1ホール目に破れた。
その足で仙台入りしたのだが、極度の疲れから腰がひどく痛み、精神的にも参っていて、初日のスタート前には同じ組の伊沢利光に、こう打ち明けていたほどだ。
「伊沢さん、すみません。今週は途中でやめなくてはいけないかもしれません・・・」。
そんな状況ながら、首位の座をいちども譲らずに乗り切れたのは、「腰が痛くて、しんどいほうが上だったから。こんな状態で勝てるとも思わず、試合の緊張感がなかったから」と、SKは振り返る。
2打差首位からスタートした最終日も、プレッシャーとは無縁だった。
ハーフターンから、猛然と追い上げてきた伊沢が、16番でOBを打って脱落したと思ったら、今度は横田真一が、上がりホールで次々と長いパットを決めて詰め寄ってきた。
プレーオフも覚悟していた。最後まで、息もつけないスリリングな展開にも、16番でグリーン右バンカーからの第3打をピタリと寄せてみせるなど、磨きぬかれたショートゲームで冷静にパーを拾い、1打差で逃げ切った。
この優勝で、日本予選ランキングでの、全英オープン出場がほぼ確定した。
賞金ランクのトップにも、躍り出た。
いまとなっては突然のスケジュール変更も、全米オープンの最終予選で敗退したことも、すべてはこの結果に、つながっていたような気がする。
「・・・急にこの大会に出られることになったときから、僕に運があったんですかね」。
転んでも、タダでは起きない。