和合の17番、170ヤードのパー3でホールインワンを達成。しかし、ホールアウト後のクラブハウスで、なぜかペーニャが泣いていた。運営スタッフに、何度も何度も問い返す。

「どうして、どうしてもらえないの！？」。

ホールインワンの賞品は、トヨタのハイブリッドカー『プリウス』。
通算5オーバーで17番ホールを迎えたとき、でっかい看板を見ながらキャディと打ち合わせた。
「このスコアじゃ、賞金も期待できそうにないから、ここで一発決めて、車を持って帰ろう」。

9番アイアンで打ったティショットは、それまでの不調がウソのように会心の当たり。カップインの瞬間まで目を見開いて、ボールの行方を見届けた。
日本ツアーでは2回目、ＵＳＰＧＡツアーやアマチュア競技などもあわせると自身7回目の快挙達成。

「やった！！プリウスを手に入れたぞ！」。

大喜びで上がってきたのもつかの間、無情な宣告。
「ごめんなさい。ペーニャさんは、車を受け取ることができないんですよ」。

実は非居住者は、車を所有できないことになっている。
アメリカ国籍のペーニャももちろん例外ではなく、この場合は相応の現金を受け取る決まりなのだが、ペーニャはあきらめきれない。

「たとえば、僕のマネージメント会社を車の所有者にする、というのはどうかな」と食い下がったが、贈与する場合でもやはり、日本に国籍を持つ者がいったん受け取ってからでないと出来ないシステムになっているのだ。

「プリウスが、ずっと欲しかったのに･･･」。
ホールインワンした余韻はすっかり消えて、いつまでも無念そうにつぶやいていたペーニャだった･･･。

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