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つるやオープンゴルフトーナメント 2006

杉原輝雄「70歳になっても予選を通りたい」

表彰式で、つるや株式会社の西村文延・代表取締役社長と掛け合い漫才だ。スピーチに熱がこもる社長に、杉原がちゃちゃを入れる。
「社長!! ハナシ長いよ、巻いて巻いて!」。
しかし、西村社長も平然と切り返す。
「あの人、あんなん言うてるけど、ほんまにすごい選手なんです。飛ばへんけど、真っ直ぐ打つことにかけてはピカ一! これまでにも何度かプロの方と一緒に回らしてもろたけど、あの人ほど真っ直ぐ飛ばせる人はいなかったです」。
「・・・何を言うてますのん、僕のことはもうよろし」。

こんな会話が交わせるのも、社長と杉原がもう30年来の付き合いだから。
「私がお店を立ち上げたときからのお付き合いですねん」(西村社長)。
そんな2人の関西弁でのやりとりに、会場は爆笑の渦だ。

最後の最後まで、ドンが大会を盛り上げた。

2日目にエージシュートに1打足りない69をマークして、68歳10ヶ月と7日での予選通過は、世界最年長記録。
決勝ラウンドこそ「エージシュートを目指す」と公言した。
ニュースを聞きつけ、静岡からわざわざ応援に駆けつけたファンもいた。
サインエリアには連日200人近くのギャラリーが列を作った。
今年から日本ゴルフツアーが販売しているサポーターズバッジも売り切れてしまった。
注目を、一気に集めた。

「みんなが喜んでくれるのは嬉しかったけれど。世界世界っていっても、予選通っただけじゃ、情けないな・・・」と、しょんぼりと肩を落としたドン。
最終日は77を打って最下位の70位に落ちた。

「たくさん来てくれはって、電話もいっぱいもろて。そんな人たちに、答えを出せなかったことは申し訳なく思ってる」。
主催者のはからいで、きゅうきょ贈られることになった特別賞も、西村社長の手から恐縮しきって受け取った。

5年ぶりのツアー賞金獲得も、「でも、赤字だよ」とドン。
しかし、この結果がかえって闘志を燃え上がらせる。
「もちろん、今回通ったからといって次も通るなんて、楽じゃないってわかっているけれど。70歳になっても予選を通りたい。エージシュートも狙いたい」。
68歳の口から、尽きない夢がこぼれ出た。



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